カレッジマネジメント205号
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48リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017LTDという言葉をご存じだろうか。アクティブラーニング(以下AL)の一種で、Learning Through Discussionの略、即ち話し合い学習法と呼ばれ、予習教材に対し十分な予習・読解作業を行った後、それらを持ち寄りディスカッションを実施し、協同的に学習を深めていくプロセスである。創価大学(以下創価)には教育力の強化・向上の一環で、このLTDを含めALを2000年以来全学的に進め、定期的なFD活動により進化させてきた実績がある。その契機となったのは、かつての文科省GP(Good Practice)事業である。2000年に開設した教育・学習支援センター(CETL)における、教員FDを含めた総合的な学修支援体制構築事業が2003年のGPに採択されたことが、強い追い風になった。「そこから学部を問わず全学的にAL推進に取り組み、2014年度大学教育再生加速プログラム(AP)にも複合型(AL、学修成果の可視化)で採択されました。現在多くの授業でLTDを含む多様なALを実施しています」と、アドミッションズセンター長の山岡政紀教授は言う。そんな創価が2018年度から導入するのがPASCAL入試(Performance Assessment of Students’ Competency for Active Learning)。その言葉の通り、大学全体で推進しているALに対する行動特性を評価するための入試である。建学の精神に基づく教育の深化創価の場合、大学全体でALを推進する流れからして、求めたい学部共通のスキル・スタンスはある程度明確である。実は従来型の入試でも、こうした大学教育への適性が高い人物を選抜しやすいものは存在した。「本学では専願の公募推薦が最も志願度が高く、本学の教育内容も見据えてか、高校までのAL学習習慣もついており、入学後のGPAも高水準で推移する傾向があります。ただし、明確にAL適性を見るというよりは、学力+人物評価という域を出なかった。今回のPASCAL入試は公募推薦の定員を一部移管し、よりALに特化したパフォーマンスを重視する新しい評価方法を実施します」と山岡教授は話す。初年度導入にあたり、対象学部は完成年度を迎えていない理工学部・国際教養学部を除く6学部で、定員は100名。全体定員の約7%である。入学後の修学状態をIRで分析しながら、いずれは定員を広げていきたいと考えているという。ではそもそも、なぜ創価はALに力を入れてきたのか。そのヒントは建学の精神にある。創価の建学の精神で最初に出てくる言葉は「人間教育」。自らを教育のための大学だと称する。そこから貫かれるスタンスは「学生第一主義」である。「誤解を恐れずに言えば、本学は研究よりも『どうやって学生を育てていくか』を重視して常に進化を志向する大学です。だから授業方法や教員FD、学生の成長を支える体制強化に何より力点を置きます」。学生第一主義とは、学習者である学生を第一に考えるということだ。ALはまさに学習者をアドミッションズセンター長山岡政紀 教授アクティブラーニングに必要な行動特性を見極めるPASCAL入試高大接続の入学者選抜3創価大学GP事業を契機にアクティブラーニングを推進

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