カレッジマネジメント205号
49/68

49リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017中心にした教育方法の総称であり、創価の理念に合致した教育方法であると言えるのである。2021年に50周年を迎えるにあたり策定したグランドデザインでも、その点が確認されている。改めて定義した創価の社会的役割は「創造的人間の育成」。「創造的人間」とは、知力と人間力を兼ね備えた人間を指すという。即ち、正解のない課題に取り組む力・柔軟性・能動性・主体性等を兼ね備え、知識を知識で終わらせず、最終的には人類の共生社会、平和につなげることができる人間である。「そうした人材を育成するにあたり、入学時点では断片的な知の量を測るのではなく、総合知を測りたい。グランドデザインの議論の中で、改めて本学が求める人材像が浮き彫りになりました」と、山岡教授は話す。選考の全工程を総合的に評価では、PASCAL入試ではALに必要な行動特性(Competency for Active Learning)をどう評価するのか。全体の選考の流れを図表に示したが、全体として「学力の3要素」を総合的・多面的に評価する内容である。特色が見られるのは特に二次選考であろう。試験当日行われるのは、LTD方式のグループワーク(以下GW)、小論文、個人面接。GWは6人で、与えられた課題に対し、グループで議論して共通理解を目指す。そのプロセス・パフォーマンスを独自開発のルーブリックにより、複数の教員で客観的に評価していく流れだ。「知識・技能」を中心に見る一次選考の結現力」「主体性・協働性・多様性」を見る選考プロセスなのである。最終的な合否判定は一次選考の書類や学力、二次選考の状況を総合的に見て判断する。こうした内容は高校教育で培った力を総合的に活用できる力を見るものであり、高校側からも評価が高いという。今年3月からのオープンキャンパスではLTD模擬授業を実施したが、全回予約段階で満席となる好評ぶりだったそうである。創価の場合、こうした取り組みを全学的に遂行するための、CETLを中心にした教育支援体制の強さが際立つように思う。私立大学が入学者選抜で高校教育と大学教育を実質的につなぐには、まず大学側の建学の精神に根差した強みと教育理念が実体化されていることが必要であろう。それにより、その大学で学ぶのに必要な資質・能力が明らかとなり、そのための評価方法が見えてくる。そうしたプロセスを全学的に踏めるからこそ、本質的な志願者を集めるための勝ち筋と方策を見いだせるのだと考える次第である。(本誌 鹿島 梓)果発表と同時に、受験生には予習教材と予習ノート等が支給される。予習ノートは教材に即して自らの論点を整理することが目的であり、その出来は評価されない。事前に教材について考え抜き、自分なりの視点や場に臨む気持ちを整えてきたかどうかが問われる。GWでは積極的に議論に参加する姿勢やリーダーシップ、議論による自己変容に対して寛容か、他者の意見を昇華することができるか、表現力等、学びの深化を起こすことができる素養を丁寧に見るという。評価するのは普段からLTDを用いた授業を行っている教員だが、評価するという経験は初であるため、事前にFD研修・個別研修等で模擬練習を重ねて本番に臨むという。小論文はGWと連動し、課題と関連した内容を当日課す。文章による表現力はもちろんだが、予習教材を読んで理解してきたかどうか、そして、行われたばかりのGWにおける理解の深化を活かせるかどうかが問われる。その後、受験生1:面接官3の個人面接で志望動機や学習目的を確認する。二次選考全体が「思考力・判断力・表※大学HPより編集部作成図表 PASCAL入試の選考フロー略図8月下旬~9月上旬出願・一次選考以下3点を審査し、一次選考合格240名を選出①調査書 ②自己推薦書(800文字程度)③出願資格等充足を証明する書類9月下旬一次選考結果発表10月中旬二次選考以下3点を審査①LTD方式グループワーク ②小論文(1000~1200文字予定)③個人面接10月下旬合格発表一次選考結果と二次選考の3点を加えた総合評価で合格者を決定(入学定員100名)

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る