カレッジマネジメント205号
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51リクルート カレッジマネジメント205 / Jul. - Aug. 2017れもと教えても学生は消化しきれませんし、3年や5年は使えても10年後にはもう古いという類の知識もあります。それよりも、工学でいえば力学であったり材料学であったり、それぞれの分野に固有の基本的な力が得られる授業にしましょうと」。同時に、4時限・5時限に当たる空き時間が「人が育つ」時間となることも期待されている。学生主体の自主学習や、英語学習に特化したアクティブ・ラーニングスペース「E-square」(ネイティブスピーカー中心の英語教員が交代で常駐し、学習サポートを受けることができる)の活用、理論と現実を結びつける経験となるフィールドでの課外活動等を想定している。高校・社会との連動性を目的とした「教育講師制度」もう1つの特徴的な制度は教育講師だ。主に企業での実務経験の豊富な人材を、初年次教育からキャリア系科目、就職支援まで4年間継続して学生の指導・支援に当たる教員とするもので、正規教員の職制としては全国初という。現在、12人の教育講師が各学群に2〜3人ずつ配置されている。「企業で活躍して相当な地位までいって退職した方、高校の校長経験者等を、学位や研究実績にはこだわらずに教育講師として採用することで、高校との連続性、社会との連続性をつける狙いです」。まず高校からの接続について、教育講師が導入科目「スタディスキルズ」を担当。大学の講義を聴くために必要な基本的な技術、スキルを身につけ、高わらないかもしれません。しかし、教育講師の先生がおられるので、『君、ここ行ったらどう?』『こういうところが向いているんじゃないの』等のアドバイスがもらえるわけです」。ただし磯部学長は、教育講師の働きを強調しすぎることに懸念も示す。「それ以外の教員も、教育に対する力の入れ方が他大学に比べてずっと大きい」からだと言う。「大学の先生は何より研究が大事となりがちですが、本学は私立大学から始まっていることもあって、教育が大事なミッションだという思想が行き届いているので、例えば『インターンシップはぜひ行ったほうがいい』という話等も、教育講師以外の先生方が積極的にしています」。私学の効率性と公立大学の自由度が両立する風土教育が大事という合意が全学でできていることが、授業時間の集中化をはじめとする改革が進むうえで大きな要素ではないかと磯部学長は言う。例えば学生による授業評価、授業風景のビデオ公開など、「正直、面白くな校とは異なる勉強の仕方に慣れていきながら、大学という新しい環境でのカルチャーショックをやわらげる意図もある初年次教育だ。「1クラス15人ぐらいですので、学生の顔と名前どころか、性格までわかってしまうぐらいの親密な関係でやっている」と、相当きめこまかな体制だ。社会への接続でも、「キャリアプラン(基礎、1、2)」科目を主に教育講師が担当する。「将来どんなことをやりたいのかについて聞くというような非常にベーシックなところから始めて、そのためにどんな学びが必要か、具体的に企業名が決まり、最終的にそこへ入るための面接指導等に至るまで、面倒を見ます」。キャリア形成支援の一環としてはインターンシップも盛んで、学生の約8割が履修する。海外インターンシップも、初期こそ学生が尻込みする気配があったものの、今は募集の3倍ほど希望者が出るといい、毎年8〜13名がタイ、ベトナム、インド等に行っている。「インターンシップは、このように言葉で説明すると他大学とそれほど変4年【専門力軸】【キャリア形成軸】就職支援インターンシップキャリアプラン キャリアプラン基礎スタディスキルズ3年2年1年教育講師教授 ・ 准教授 ・ 講師卒業研究専門科目基礎科目副専攻決定 (3年秋) 専攻決定(3年春) 学生社会人大 学 院生徒図表 高知工科大学での学び

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