カレッジマネジメント208号
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16リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018(AL)要素を取り入れた授業になっている。故に、2012年にはAL専用の校舎「KYOAI COMMONS」を建てた。いわば、Learning Commonsの建物版である。ALは既に大学というより高校のテーマである。学習指導要領が変わろうとしている今、教育委員会や高校教員の研修ニーズも高まっており、高校生とのコラボゼミの依頼や高校における授業実施など、様々な高大接続事業もこのALが軸となっている。グローバルやローカルなプロジェクト型の学びとキャンパスにおけるAL。これらの質保証が次のテーマでもある。学修成果をいかにして可視化していくのか。本学では、「KYOAI CAREER GATE」と名付けたポートフォリオシステムを開発した。学生は、授業のみならず、地域活動、海外経験、ボランティアにアルバイトまで、あらゆることをこのポートフォリオに蓄積し、それをエビデンスとして、学修成果指標に即した自己評価を行うことを通して、本学では、エビデンスベースの自己評価による自律的な学修者の育成と成果の可視化に取り組んでいる。さらに、ポートフォリオへの蓄積は、学生が選択すれば社会に公開することができる。これがショーケースで、就職活動の際、自分のURLを示して4年間の学びを見てもらう仕組みである。学生が自己評価するのが、学修成果指標「共愛12の力」である。本学の理念、目的、DP等から導き出し、地域産業界の意見も聞いて策定した。そして、この12の力のレベルを評価するために、「KYOAI COMMON RUBRIC」も作り、学生達は、これを基に「12の力」について毎年度自己評価する。こうしてグローカルリーダーへと成長した学生達は地域に就職していく。特に最近では、ものづくり企業に採用いただくケースも増えてきた。地元企業は海外とのやり取りに追われている。そうしたところに本学の学生が採用され、地域のグローバルを牽引しているのだ。グローバルな経験を経て地域で起業する学生も出てきた。①定員回復のシナリオ本学は開学直後に定員割れを起こした。日本初の国際社会学部は高度で重層的なカリキュラムを擁した自信作であった。しかし、地域の高校生にとって何を学ぶのかが分からない、将来何になれるのかが分からない学部でもあった。加えて、全国各地から来る「はず」だった受験生にとって、「群馬県」まで来なくても良い普通の大学であったと今では思う。そこで、出てきたのが冒頭の「地元の高校生が来てくれないのに、全国から来てくれるわけがない。」だった。それから、高校教員や高校生に「なぜ受けてくれないのか」「どうすれば来てくれるか」のニーズを聞いた。その結果「コース制」と「資格特待生」を導入したのだった。資格特待生は、「英検2級で4年間の授業料を免除」という内容だった。学力はあっても経済面で不安のある学生にとって、入学前に「確実に学費が免除される」という制度は魅力的なはず。初年度に入学した特待生は数人だったが、1人は英語教員採用試験に現役合格、1人は大手航空会社に採用された。また、授業料免除の要件として、毎年資格審査を実施したため、資格特待生が周りの学生も巻き込んで勉強してくれ、「勉強する大学」に変わっていった。「全員が英検2級を取得してきたらどうするのか」については考えていなかった。数年後には多くの特待生が入学するようになり、現在では、資格特待に関しては1年間だけの学費免除に変更している。それでも受験者数は伸びているので、やはり10年間頑張ることがブランド構築に必要だったと思う。②みんなが創る大学コミュニティー=持続可能な文化づくりコース制や資格特待生といったいわばカンフル剤を打つとともに、持続可能な文化づくりも並行して行った。本学は、自らのガバナンスを「教職一体ガバナンス」と呼んでいる。取り組みを支える教職一体ガバナンスと学職協働KYOAI COMMONS

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