カレッジマネジメント208号
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42リクルート カレッジマネジメント208 / Jan. - Feb. 2018大学は、最終学歴となるような「学びのゴール」であると同時に、「働くことのスタート」の役割を求められ、変革を迫られている。キャリア教育、PBL・アクティブラーニングといった座学にとどまらない授業法、地域社会・産業社会、あるいは高校教育との連携・協働と、近年話題になっている大学改革の多くが、この文脈にあるといえるだろう。この連載では、この「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目しながら、学長及び改革のキーパーソンへのインタビューを展開していく。各大学が活動の方向性を模索する中、様々な取り組み事例を積極的に紹介していきたい。今回は、社会科学系の特色ある中堅大学を目指し、多様なキャリア教育を充実させている大阪経済法科大学で、田畑理一学長にお話をうかがった。大阪経済法科大学の田畑理一学長は「本学が本格的な改革を開始したのは、2012年に八尾駅前キャンパスを建設したのが契機です」と語る。2014年に経済学部経営学科、2015年に大学院経済学研究科、2016年に国際学部と次々に設置。シャトルバスで結ばれた花岡・八尾駅前の2キャンパスに3学部4学科1研究科を配する体制となり、2019年には経営学部設置も計画されている。1971年に創立者の金澤尚淑博士が私財を投じて開学して以来、大学名の通り経済・法律の2学部体制をとってきたが、「経済と法律、2つの学問の修得による人格の形成」「実学の精神を持った人材の育成」「人権の伸長と国際平和への貢献」の3つを建学の精神に掲げていることから、国際学部の新設は自然な流れだったようだ。「研究を通じて国際平和に寄与する人材を育成しなければならないという、創立者の信念を実現するには、やはり国際学部が必要だという結論に至りました」と説明する。「開学当初から国際部という部署があって、国際交流、国際協力はずっとやってきたのです。実際に今25カ国・地域に合計63の協定校があります。その中には協定を結んで30年以上になる北京大学をはじめ、その国を代表するような名門大学が多数含まれています」(田畑学長)。田畑学長が「本学の特徴」と自負するキャリア教育には、基本的な観点として4つの柱が立てられている。進学・就職に関わらず卒業後の進路を考えるためのキャリア教育を全員が受ける「全員化」、初年次からキャリア開発科目を設ける「早期化」、2年次3年次のキャリア科目を15名前後のゼミ形式で実施する「少人数化」、女性、体育会系学生、留学生等に応じた「属性別支援」の4つだ。具体的な取り組みは、正課・正課外の双方で手厚く行われている。「正課だけで公認会計士や司法試験等の難関資格を通すことはできないですし、かといって正課外で資格だけを目指すなら専門学校になってしまう」(田大阪経済法科大学実績が好循環を生むキャリア教育、目指すは「特色ある中堅大学」田畑理一 学長2012年以降、本格的な改革を推進全員、早期、少人数、属性別支援のキャリア教育の4つの柱

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