カレッジマネジメント211号
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43学部数や学生数が増えて科目数が増えれば、それを実施するのに相応の教室数が必要になる。不足しがちな教室数を確保するためには、肥大化する科目数の整理も求められる。さらには、キャンパスの違いで学生が不利を被らないよう、多摩キャンパスの学生が都心でも学べる環境を整備しようとすれば、再びスペースの問題が浮上する。こうした問題を根本的に解決するためには、安定した財政基盤が鍵となる。そこで田中総長は、2013年11月総長選挙への出馬に際し、マニフェストとして「中長期ビジョン」の策定・実施を掲げ、その中で長期的財政見通しの検討やキャンパス再構築の必要性を訴えた。「数々の課題について、一つひとつ場当たり的に対処していくのではなく、全体として将来像を描く中で解決していくべきだと考えたのです」。田中総長はそう語る。こうして、種々の個別課題とそれらの改善や解決に必要な財政基盤の充実を中心に据えつつも、問題を近視眼的に捉えるのではなく、もっと先を見据えた長期的で一体的な長期ビジョンの策定が目指された。こうして誕生したのがHOSEI 2030だ。長期ビジョン名にある「2030」はもちろん2030年のことだ。その年、法政は創立150周年を迎える。つまり、HOSEI 2030は、大学にとって重要な画期をなす年をゴールに定め、2030年のあるべき姿を提示し、そこに至る工程を明確化しようという試リクルート カレッジマネジメント211 / Jul. - Aug. 2018事例①法政大学HPより学校長会議・大学付属校協議会を中心にアクション・プランの具体化⇒関連部局での実行人事部などを中心にテニュア・トラック制度の具体化作業部会の継続卒業生・後援会連携室を中心にアクション・プランの具体化・実行研究所長会議・大学院委員会等を中心にアクション・プランの具体化・実行研究総合本部会議を中心にアクション・プランの具体化⇒関連部局での実行保健体育部などを中心にアクション・プランの具体化・実行総長室を中心にアクション・プランの具体化・実行ダイバーシティ推進委員会を中心にアクション・プランの具体化⇒関連部局での実行教学改革中期目標設定キャンパス再構築部会教学改革長期目標設定、実行、検証教学改革長期目標設定、実行、検証教学改革長期目標設定、実行、検証全学の部局・部署にてアクション・プランの具体化・実行HOSEI 2030教学改革推進課を中心にアクション・プラン実行大括り化の学内合意にもとづき、教学再編成の順次実行市ヶ谷キャンパスWG※多摩キャンパスWG※小金井キャンパスWG※各キャンパスの短期的課題についての取り組み合意・着手大括り化事業評価委員会設置準備→制度化中期経営計画プランニング教学改革推進→中期経営計画確定後、 特設化を検討ブランディング推進チームが徐々に全学実施体制構築教学面・財政面両面での学内合意と協力を土台に、キャンパス再構築計画の順次実行第二期中期経営計画の実行中期経営計画検証・策定第一期中期経営計画の実行中長期財政支出削減キャンパス再配置大括り化財政支出削減(短期)財政規律のシステム構築財政基盤検討委員会キャンパス再構築委員会ダイバーシティ化委員会ブランディング戦略会議中期経営計画検証・策定第三期中期経営計画の実行中期経営計画検証・策定財政基盤確立HOSEI 2030策定委員会構想策定 段階2014~2015年度2016年度2017年度2018~2021年度2022~2025年度2026~2029年度アクション・プラン実行 段階アクション・プラン作成 段階推進本部 設置HOSEI 2030 推進本部会議教学改革とキャンパス再構築ダイバーシティ化推進ブランディング憲章・ミッション・ビジョン具体化授業科目のスリム化大規模授業のオンライン化システム構築アクティブラーニング・実践知育成の学び社会人の学び直し・市民教育ダイバーシティ化推進(作業部会)→ダイバーシティ 推進委員会ブランディング推進チーム持続可能社会構築に向けた研究体制若手育成のための大学院-研究所連携校友ネットワークの世界展開付属校の将来ビジョンプロジェクトテニュア・トラック制度化法政ミュージアムの実現法政スポーツ強化特集 2030年の高等教育図表2 HOSEI 2030の構成とアクション・プランHOSEI 2030策定と実施のプロセス

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