カレッジマネジメント231号
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71リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022 また、全学生が年間2回(AP事業終了後は年間1回以上)、DSシステムを見ながら『自己点検・修学指導記録票』用紙を記入し各学科に提出することで、指導・フィードバックの機会を確保した。自己確認を習慣づけるために、webシステムではなく「紙で配布し紙を回収する」方式を選択。その効果もあってか、回収率はほとんどの学科で90%以上に及ぶ。 改革を進めるに当たり苦心したポイントを訊ねると、井上学長は「工学部の成功モデルケースを展開していく手順」「教職協働のプロセス」の2点を挙げた。椋平教務部長は、「全学的な情報共有もポイントでした」と補足する。「この5年間ほど、かなり頻繁に全学集会を行うことで、教職員が同じ方向を向き続けることができたと思います」。 2011年度以来の「学生の学修不足」という課題について井上学長は、「若干改善の兆しは見えてきた感覚」と言う。「それよりもAP事業の4年間で、DSシステムによって学生が自ら学びを振り返る機会ができ、それが各学部とも定着してきたことは大きいと思います」。 椋平教務部長は、MRを全科目に設定した2017年度以降、一部の科目で成績分布に変化がみられることを成果として挙げる。「例えばMR導入以前の成績分布で90点台の学生が非常に多く、甘い成績のつけ方が明らかだった科目で、2017年度には60点台がピークになっています」。基準と評価方法がいずれも是正されたことが、点数分布に表れた成果だろう。 また椋平教務部長は、「PDCAのうちP・D・Cまではうまく動いてきました。今は、Cのチェックで得られることを全学で共有し、議論しながらAをどう展開するか、言い換えると教学IRを進めている段階です」という認識を示した。 井上学長は、「DSシステムの学生の利用度を高める」ことを今後の課題とする。「単純に成績通知と理解している学生に対してもきっちりと周知し、さらに利用を進めていくことで質保証をしたいと思っています」。AP事業終了後については、「S評価をいただいた『質保証』に限らず、学生と教職員が一体となって教育の質を上げていき、他大学にも参考になるようなシステムに育てていきたいと思っています」としている。(文/リアセックキャリア総合研究所 松村直樹)学生が自ら学びを振り返る機会が定着効果的可視化による修学指導・キャリア支援の充実制度改革による学力伸長・定着の推進客観的・実行的な制度点検・管理の徹底ディプロマ・サプリメント・教育IRシステム卒業生インタビュー調査キャリア形成支援手帳ミニマム・リクワイアメント企業満足度調査PROGテスト各授業科目の成績評価基準の明確化アセスメント・テスト授業アンケート人文社会学科外国語体育自然科学工学マネジメント淀川学OITリソース数理科学と教育その他の連携科目分野別累計GPDPADPBDPCDPDDPEDPFDPGDPHDPIDP1DP2DP3DP4DP5DP6学科DP学部DP人文社会学科外国語体育自然科学工学マネジメント淀川学OITリソース数理科学と教育その他の連携科目分野別修得単位合計学生自身の到達度到達目標ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)の着実な達成を目指し、学修成果を高める質保証のプロセス工大質保証ディプロマ・サプリメント、教育IRシステムによる学修成果の可視化

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