キャリアガイダンス保護者版
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 18歳人口自体が減れば、それだけ学力上位層の絶対数も少なくなるのは必然です。難関大学も入学定員を減らさない限り、昔より幅広い層の学生を入学させなければなりません。国公立大学でさえ、かつての人気や名声にあぐらをかいていては地盤沈下が避けられません。かえって新興大学の方が改革に取り組みやすく、先進的な教育で社会から高く評価されていることも珍しくありません。「そんな大学、聞いたこともない」と一概に新興大学を否定していてはわが子の志望先を見誤ってしまうことになります。大学改革の要因2「グローバル化」 今や「グローバル化」という言葉を見聞きしない日はありません。保護大学改革の要因1「18歳人口減」 保護者世代といえば共通一次試験の最後世代か大学入試センター試験の始まったころに学生だったという方が多いのではないでしょうか。主な大学入学年齢である18歳の人口は92年度の205万人をピークに減少期に入り、今では123万人(2013年度)とピークの6割程度に縮小。90年度に500校を突破した大学数は短大からの転換もあって、みるみる増えて今や782校に上ります。当時、大学・短大に進学するのは同世代の3人に1人程度でしたが、今や2人に1人です(進学率49・9% ※)。 注意しなければならないのは、新しく増えた大学に入りやすくなっただけではなく、トップクラスの大学にもその影響が及んでいることです。者の方々もお勤めの会社が海外展開に乗り出すなど、グローバル化と無縁ではない方も少なくないことでしょう。わが子にもグローバル人材になってほしい、そのために有利な大学に入ってほしい……と思っていらっしゃる方もいるかもしれません。 大学も今、グローバル化への対応が大きな課題になっています。例えば毎年、大学の国際ランキングが話題になりますが、関係者にとっては単なる恒例ニュースではありません。グローバル化で国境の敷居がますます低くなる中、今世界の大学は優秀な研究者や学生の獲得競争にしのぎを削っています。ランキングはそうした動向に大きく影響を与えるため、世界中の有名大学がランクを一つでも上げようと必死です。 日本では憧れの東京大学でさえ、世界的に権威のある英国の高等教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)のランキングでは23位(2013-14年版)。意外に振るわない理由は、留学生数や外国人研究者数など国際化指標の弱さと指摘されています。そこで東大はグローバル化を一気に進めようと、世界の多くの大学と暦を同じにするべく「秋入学」への移行を2年前に公表。ところが昨年、一転して見送ることを発表しました。理由は、就職・資格試験といった日本の社会システムと整合性を取ることが難しかったためですが、代わりに「4学期制導入」を決定。2015年度末までに全学部で導入するとしています。これにより今後、秋入学制を採る海外の大学とも行き来がしやすくなる「4学期制」が日本の多くの大学に広がっていくことが予測されています。 また、国も大学のグローバル化をグローバル時代の「大学改革」│保護者も「知らない」では済まされない!晴れて高校に入学した喜びもつかの間、心の中ではお子さんに早くも3年後の大学受験に向けて勉強をしっかり頑張ってほしい……と願っている保護者の方は少なくないでしょう。しかし今どきの大学を、自分たちの時代と同じようにとらえてはいけません。少子化とグローバル化の中で大学はすっかり変わっているだけでなく、これからもっと劇的に変わろうとしているのです。お子さんたちの受験期の2017年には「劇的な大学改革」が席巻していることでしょう。これから述べることは、すでに進行中の現実なのです。※大学・短大進学率/「学校基本調査」文部科学省(平成25年度)文/渡辺敦司(教育ジャーナリスト)32

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