キャリアガイダンス保護者版
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は、睡眠は人間にとって非常に重要なのです。なぜなら、眠らないと脳を修復することができないのですから。ところが、今の日本では、大人も子どもも睡眠を軽視しすぎています。 睡眠には、脳を回復させ、記憶を定着するノンレム睡眠と、夢を見ることの多いレム睡眠があり、朝までにこの2つの睡眠が何回か繰り返され、同時にいろいろなホルモンが分泌され、脳や体の機能をメンテナンスしています。この睡眠の効能を享受するには、夜早く寝る生活リズムに整え、こま切れではなく、まとめて睡眠をとることが肝心です。 さらに、睡眠は学力にも大きな関係があります。記憶を定着させるためには、覚えた後早めに眠ったほうが効果的です。実際に、成績上位の生徒ほど早めに寝て適切な睡眠時間をとっていたという調査結果も報告されています。 脳は20歳頃まで成長します。今からでも決して遅くはありません。高校生の時期に質の良い睡眠をと長期である高校生の栄養摂取が大事であることはいうまでもありません。今の高校生は、必要なエネルギーは摂れていますが、カルシウムと鉄が不足しています。 カルシウムが不足すると丈夫な骨が形成されないので要注意です。また、18歳くらいが骨密度が一番高くなる年代ですが、カルシウム摂取が少ないとそのピークが低くなり、早く骨粗鬆症になってしまう危険性があります。 鉄に関しては、主に女子になりますが、不足によって貧血の子も増えていますし、その予備群も30〜40%います。予備群の場合は今すぐ貧血の症状は出ないものの、将来妊娠した時に貧血になる恐れがあるので油断は禁物です。 見落としがちなのが食習慣の大切さです。高校時代の食習慣が大人になっても続く可能性が大きいのですが、1週間毎日ファストフードを食べたり、主食抜きダイエットをしたりなど、間違った食生活を送っている子も少なくないのです。る習慣を身につけ、脳を成長させ、より良い神経回路を作りましょう。 良い眠りを得るコツを6つご紹介します。「休日も含め、毎朝同じ時刻に起きる」「朝、光を浴びて体内時計をリセットする」「朝食をきちんととる」「寝室は赤色電球色の照明にする」「寝る前の携帯、スマホ、テレビは避ける」「睡眠中は部屋を暗くする」 ただし、親が夜更かししていては、子どもが言う事を聞くはずがありません。まず保護者が率先して、正しい睡眠生活を実践すべきでしょう。 高校時代の食習慣のポイントは、「朝食を食べること」と「いろいろなものを食べること」。不足しがちなカルシウム、鉄、野菜や果物も意識して食べるとさらにいいでしょう。 我々の調査で、学力の高い生徒の家庭では、朝昼夕バランスのいい食事が出されているという結果も出ています。きちんと食べることが学力にもつながっているといえるのです。 毎日満点でなくても、1週間でバランスがとれていればいいんです。ぜひ、お子さんと食事のとり方をチェックしてみてください。専門は鼻呼吸障害と睡眠、睡眠時無呼吸症候群、睡眠学教育。睡眠障害の包括的医療、睡眠健康指導士の育成、睡眠知識の啓発活動に学内外で広く取り組む。日本睡眠教育機構理事長。睡眠健康大学(http://sleep-col.com/)では睡眠検定も実施。著書に『脳に効く「睡眠学」』などがある。専門は栄養生理学。主な研究テーマは、ヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究、成長期のライフスタイルと身体状況、スポーツ選手の栄養アセスメントなど。骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会委員。著書に『栄養素の通になる-食品成分最新ガイド』などがある。滋賀医科大学 睡眠学講座 特任教授宮崎総一郎先生女子栄養大学 栄養生理学研究室 教授上西一弘先生脳を成長させるのは睡眠だけです睡眠の重要性を見直してください高校時代の食習慣が将来に影響します食生活を一緒にチェックしてください実成51

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