高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2015
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 民野剛郎さんが、難病を患い車いすで生活する同級生の垣内俊哉さ Bsizeは、八木啓太さんが企画・設計・開発・デザインのすべてを自分で手掛ける〝一人家電メーカー〞。大手メーカーを辞め、一人で起業した理由を八木さんはこう語ります。 「世の中に新しい価値を提供する製品を作りたかったんです。それは制約の多い大手の環境では難しかった。だったら独立しようと」 理想に向かって動き始めたのは高校1年のとき。iMacとの出会いがその後の人生を決めたといいます。 「〝誰もがリビングに置いてインターネットにつなげるコンピュータ〞というコンセプトを性能とデザインがみごとに体現している製品でした。そこに作り手の思想を感じ、共鳴したんです。自分もこういうものを作りたいと思いました」(八木さん) この目標を実現するために何を学べばいいかを調べたところ、必要なのは電子工学と機械工学とデザイン。しかし、この3つを同時に学べる大学Bsize代表。デザインエンジニア。兵庫県立宝塚北高校、大阪大学工学部電子情報エネルギー工学科卒(学科名は当時)。大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻博士前期課程修了(専攻名は当時)。大学院修了後、富士フイルムに就職。3年9カ月在籍し、医療機器の機械設計に携わる。27歳のときに同社を退職し、Bsizeを設立。第一弾の製品として発売した『STROKE』が2011年度のグッドデザイン賞を受賞Keita Yagi八木啓太さんが経営する“一人家電メーカー”。美しいデザインと優れたテクノロジーによって社会に貢献する製品・サービスを提供することが経営理念。創業当初、社員は八木さんのみで、製品の企画・設計・デザインまでをすべて一人で手掛けていた。現在は生活家電の開発・販売に取り組んでおり、商品化されているのはLEDデスクライト『STROKE』とワイヤレス充電器『REST』の2製品BsizeiMacとの出会いが自分の道を決定づけた野心+社会貢献を両輪に学生時代に会社を設立大学在学中、福祉系ベンチャー企業 (株)ミライロを仲間とともに起業した民野剛郎さん(24)起業への行動を加速させた志をともにする仲間との出会い大手メーカーから独立し、たった一人で家電メーカーBsizeを立ち上げた八木啓太さん(31)はありません。そこで、高校生の八木さんは、電子工学は大学で、デザインは独学で、機械工学は就職先の企業で身につけようとプランを立てました。 そしてそれから10年強。八木さんは計画どおり学び続け、この3つのスキルを自分のものにしたのです。「ライフワークといえる目標があると、学ぶことが楽しくなるんです。小さな失敗や挫折があっても、すぐに目標に向けて次の一歩を踏み出せる。私にとっていちばんつらいのは目標がない状態ですね」(八木さん) 効率・スピード重視の今の時代、時間を掛けて積み重ねたスキルや技術は希少。八木さんのように複数分野を専門的に学んだ人材はなおさらです。ブレない理想と確かな技術。これが八木さんの〝自走〞を支えています。 アップルのものづくりに影響を受けた八木さんですが、決して同じようなものを作ろうとは考えませんでした。憧れたのはスティーブ・ジョブズの思想。〝新しい価値〞の創造です。「メーカーが主役のものづくりの時代はもう終わると思います。これかんとミライロを設立したのは大学3年のとき。垣内さんが社長、民野さんが副社長となって2人で始めたベンチャー企業は、多角的にユニバーサルデザイン普及に取り組み、メンバーを正しい色が見える質の高い光が特色の『STROKE』。視界を遮らない構造などデザインも考え抜かれているスマホ、タブレット端末、モバイルバッテリなどを置くだけで充電できる『REST』。国産の杉間伐材を使用した筐体がぬくもりを感じさせる新しい価値を生み出すため10年計画でスキルを習得30

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