高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2015
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「日本」を学ぶ133年の伝統。学生の帰属意識を育む親密な学風國學院大學 Kokugakuin University日本の私立大学として最も長い歴史を持つ大学渋谷キャンパスで無料で一般公開もされている「國學院大學博物館」には、古墳時代や縄文・弥生時代の遺跡からの出土品や土器、そして日本古来の祭礼の場を彩ってきた神宝や装束など、重要文化財級の学術史料が多数展示されている。また、大学図書館は人文科学研究における日本屈指の図書館として知られており、現存する初期の古事記や源氏物語などの貴重本をはじめ、創立以来、神道・国史・国文・国法関係を中心に集められた貴重な文献を中心に、150万冊以上の文献が揃う。こうした優れた研究活動の成果物は、同大学が創立から133年という伝統を持ち、日本の私立大学として最も長い歴史を持つ大学のひとつとして、ずっと「日本」を研究してきたことに由来している。グローバルの時代だからこそ日本を知ることが不可欠國學院大學は、明治維新からわずか15年後の1882年(明治15年)に創立された「皇典講究所」を母体としている。初代総裁に就任したのは、有栖川宮幟仁親王。近代国家建設に向けて西欧からの文化が急激に流れ込んだ時代に、自らのことを知らずしては西欧文明の価値を見極めることはできないという考えを掲げて開学した。こうした創立時の時代背景と、日本を学ぶことの大切さに注目が集まる現在の状況はとても似ている。現在の日本は、明治初期と同様に激しいグローバル化のうねりの中にいる。だからこそ「国学」の旗を大きく掲げ、専門の学問を創造的に学びながら、日本を日本たらしめている文化や歴史を知り、それを内外に発信することが必要であると、同大学は日本と日本の文化を学ぶ大切さを説いている。世界に向けて自分を説明・発信できる人材を育成133年にわたって「日本を学ぶ」教育を実践してきた國學院大學は、いま「伝統と創造の調和」、「個性と共生の調和」、「地域性と国際性の調和」という「3つの慮(おも)い」を使命に掲げ、様々な大学改革を実行している。それは「5つの基(もと)グローバルな時代だからこそ注目が集まる日本と日本文化の研究。創立以来133年にわたって「日本を学ぶ」教育を実践してきた同大学が取り組む、グローバル時代に向けた取り組みと、高い学生の帰属意識について紹介する。取材・文/今野雅晴38(上)渋谷キャンパスにある「國學院大學博物館」。館内は考古「祭祀遺跡にみるモノと心」、神道「神社祭礼にみるモノと心」、校史「國學院の学術資産にみるモノと心」の3展示ゾーンと企画展示室からなる。重要文化財級の展示も数多く、國學院大學の研究成果が表れている。(左)図書館は人文科学研究における日本屈指の図書館として知られている。創立以来、長きにわたって神道・国史・国文・国法関係を中心に広く文献が収集され、現在では150万冊以上の蔵書数を誇る。

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