高校3年生の保護者のためのキャリアガイダンス
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推薦・AO入試を検討する際には、どんなことに気をつければいいのでしょうか?子どもの将来を見据えた上で、保護者が考慮すべきことは何か、進路指導の先生にアドバイスをいただきました。 推薦・AO入試は、一般入試よりも合否が早く決まって安心というイメージを持っているお子さんや保護者の方もいるようですが、そういう理由だけで、推薦・AO入試を選ぶことに、秋本先生は警鐘を鳴らします。「大事なのは早く進路を決めることではなく、子どもの10年後を考えること。社会の中であらゆる変化に対応し仕事をしていくためには、努力し頑張った経験が大きな力になります。その意味でも、2月まで懸命に勉強すれば子どもは必ず伸びるのに、その可能性を捨てて、推薦・AO入試で入れるところに安易に決めるのはお勧めできません。入りたい大学に挑戦する一つの機会として、推薦・AO入試を受けるのはよいと思いますが、万が一ダメな時にも最後まで志望校を変えず、一般入試に挑戦する気持ちを持って臨むことが大切です」(秋本先生) ひとことで、推薦・AO入試といっても、国公立大や難関私立大などでは、長文の志望理由や深い内容の課題レポートや小論文を課す場合もあります。自分で物事を調べたり、自分なりの考えを組み立てたりする必要があり、一般入試と負けず劣らずの苦労があるでしょう。一方で、出願さえすればほとんどが合格できてしまうAO入試もありますが、そうした選考の仕方は大学の特徴を表し、入学後の学業にも関係するので、しっかり見極めましょう。「一概には言えませんが、自分が『入りたい』大学ではなく、妥協してラクして『入れる』大学に入ったら、周りにも同じようにラクをしてきた学生が多いと思います。そういう大学の授業はどんなレベルになるのか、お子さんが勉強に打ち込める環境なのかどうか、考えてみてほしいと思います」(秋本先生) 受験には、推薦・AO入試と一般入試の準備を並行して進めるスタイルで臨みました。私が受けた自己推薦入試は、1次で志望理由書、活動報告書などを含む書類審査、2次で面接と小論文でした。 一番大変だったのは、志望理由書です。私のやりたいことは、「まちづくり」でしたが、過去の経験を振り返りつつ、専門書なども読み、自分の価値観を掘り下げ、それに自分が取り組む理由を考えていきました。より深く考えるために、塾の先生や地元の大人の人たち約30人に志望理由書へのアドバイスをもらいましたが、自分自身でここは譲れないという部分がないと、アドバイスを受けても揺らいでしまい方向性が定まりません。その自分の軸を見つけるのが大変でした。 実は、ほかにも行きたい大学があり、推薦・AO入試を受けたのですが、そこは不合格。不合格通知を受け取りながら、次の受験の準備や一般入試の勉強を続けた9月〜10月が最も辛い時期でした。 振り返ると、志望理由書に取り組むことで、自分の行きたい方向や学びたいことを、早めに考えることができたのはよかったと思います。東京都立芦花高等学校キャリアガイダンス部主幹教諭秋本嘉一先生推薦・AO入試による進学実績が多数を占める芦花高校で、進路指導を担当。その長短に詳しい。進路指導の基本姿勢は「応援すること」自分の「軸」が大事自己推薦入試で合格私立大社会科学部M・Oさん「早く決まるから」という理由だけで、推薦・AO入試を選ぶのは、本末転倒ですしっかり課題に取り組ませる大学も多くあります。選考方法も大学を見極めるポイントです17

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