高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2016
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24for Parent 2016 立教大学の経営学部では、学部生全員必修の「ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)」が行われる。まずは、入学と同時の4月。1泊2日の「ウェルカム・キャンプ」で、初めて顔を合わせる学生同士がグループになり、企業からの課題(例えば、タブレットPCの新しい使い方など)を話し合い、プレゼンで競う。 「学生主体の授業は初めてで、大学の授業は、自分で作り出すんだと思いました。一人が欠けただけでも成り立たないし、果たす責任の大きさを感じました。同時に、勝ち抜いたグループは学部生400人の前でしっかりプレゼンをしている。自分の未熟さも知って、でも自分もああなれるかもという成長への期待もありました」(安藤さん) そんなグループワークの洗礼後、前期の半年間で、企業から出された新たな課題に取り組む。18クラスから選抜を勝ち抜いたグループが、最終プレゼンを行い最優秀が決定する。 「正直、最終プレゼンも大したことないんじゃないかと思っていました。ところが、同じ学年で、同じプロセスを踏んできたのに、何でこんなに差が出るんだ!?ってすごいショック。アイデアだけじゃなく、人に伝える力、ひきつけるプレゼンテーション力が、自分たちとはまったく違っていたのに驚きました」(木ノ下さん) この次こそは、そんなライバル心にも火がつく。さらにBLPの重要なところは、「振り返り」をしっかり行うこと。最終プレゼン終了後、2コマかけて、個人とグループでプロセスをていねいに振り返る。 「特に、メンバーからフィードバックを受けたのが、自分にとって新しい気づきになりました。自分では、否定的なことを発言するとグループワークの妨げになる気がして控えていたのですが、メンバーからはそれよりももっと批判的な視点ももって話に加わってほしいと指摘され、反省しました」(安藤さん) 「グループワークは、とにかく失敗の連続でした。いいと思ったアイデアも、他が同じようなことを考えていてショック。自分の考えていたとおりに進むことがなくて挫折祭(笑)。人と自分の考えていることの違い、難しさを痛感した半年でした。その後の半年では、その反省を踏まえて自分のやり方に固執せず、変えることにも挑戦しました」(三谷さん) 授業では、必ず1学年上のステューデント・アシスタント(SA)が1クラスに1人つき、先生と学生の間を取りもち、さまざまな相談に乗る。4人とも、現在はそんなSAだ。 「授業の中では、私たちも解説する場面が結構あって、そこでの説明のしかたや解説資料など、もっとこうしてみたいと提案するとやらせてもらえる。先生と一緒に授業を作っていると感じられます」(石井さん) 実際に、4月頭のウェルカム・キャンプはSAがすべて準備をし、当日の運営などもSA主体で行われる。左から、安藤沙紀さん、木ノ下達也さん、石井有彩さん、三谷真之さん。皆、一様に口をそろえて、「この1年で大きく成長した。自分が変わった」と実感している。それは、真剣に課題に向き合い、学生同士で徹底的に話し合いをしてきたからこそ実感できる成長だ。ビジネス・リーダーシップ・プログラムの授業風景。お互いの意見を、いかに出し合うか。妥協せずに最後まで粘ることも大事だと実感するという。入学と同時にグループワークの洗礼ステューデント・アシスタントでさらに自分の成長を実感立教大学石井有彩さん安藤沙紀さん経営学部 2年三谷真之さん木ノ下達也さん同じ課題で同じプロセスを踏むのに大きな差が出る。挫折の連続が成長のバネになります

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