高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2016
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図2 大学のキャリア教育の教育課程内での実施状況資料出所:文部科学省「平成25 年度の大学における教育内容等の改革状況について」能動的学修(アクティブ・ラーニング):教員の一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学修法を指す。発見学修、問題解決学修、体験学修、調査学修等が含まれ、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効な方法とされている。カリキュラムの体系性を明確化する観点からの検討の実施と検討結果の反映H24H250200400600H24H25能動的学修(アクティブ・ラーニング)を効果的にカリキュラムに組み込むための検討●具体的な内容(一部抜粋)●キャリア教育を教育課程内で実施している大学平成24年度平成25年度0200400600800勤労観・職業観の育成を目的とした授業科目の開設労働者としての権利・義務等、労働法制上の知識の獲得・修得を目的とした授業科目の開設コミュニケーション能力、課題発見・解決能力、論理的思考力等の能力の育成を目的とした授業科目の開設資格取得・就職対策等を目的とした授業科目の開設教育課程を通じ、キャリアに関して身につけるべき知識や能力の明確化と到達度の評価今後の将来の設計を目的とした授業科目の開設インターンシップを取り入れた授業科目の開設社会や経済の仕組み、消費生活の安定・向上に関する知識の獲得・修得を目的とした授業科目の開設企業関係者、OB、OG等の講演等の実施大学と企業等とで連携して実施する、企業の課題解決や製品開発等を題材とした授業科目の開設(PBLの実施)0200400600755741354555740745477564246145301624334955454771728181490437461286218433433407217149344722176746725275504551312472596949755769970762255559236828755855752028620073.4%75.5%54.8%61.5%95.8%84.3%75.2%80.2%49.9%38.9%75.6%75.5%70.5%38.8%27.1%教育を変えてもらわなければならない。そのためには、教育を変える弊害になっている大学入試を変えることも不可欠だ」という論議が起こり、12年8月の答申・諮問を経て、始まったものでした。 つまり高大接続改革の究極の目的は、大学に入ってからの教育で学生を鍛え、社会から評価される卒業生を送り出すことにあるのです。 国立大学も含め、各大学では、学部改組やカリキュラムの大幅な見直しを進めています。座学だけではない、さまざまな活動をさせながら学ばせる「アクティブ・ラーニング」は、大学で始まっているカリキュラム見直しやアクティブ・ラーニング導入 しかし今回の改革が、今の高校生にも無縁だとは言えません。「大学入試改革」ではなく「高大接続改革」と呼ばれているところに、それが如実に表れています。 高大接続改革は、大学教育、高校教育、そして「大学入学者選抜」を一体で改革するものです。元々は中教審の大学分科会(当時の分科会長は安西氏)で「大学教育を変えるには、学生を送り出す側の高校にも次期指導要領の目玉として高校の先生たちからも関心を集めていますが、元々は大学教育の手法でもあり、導入検討が進んでいます(図1)。 教科や学問領域の勉強だけに終始し、単位を積み上げて卒業できれば将来は安泰――という時代では、もうなくなっています。4年間の大学教育で何に取り組み、どういう資質・能力を身につけ、それを基にどう仕事に貢献できるかをアピールできなければ、厳しい就職戦線を勝ち抜くことさえできません。 多くの大学がキャリア教育を教育課程内で実施し、コミュニケーション能力などの育成を目的としたり、企業などと連携して製品開発等を題材とする授業なども始めているのはそういうわけなのです(図2)。 変わる大学教育に耐え得る学生を採ろうと、各大学では入試方法を工夫しようとしています。今春の入試から東京大学が「推薦入試」を、京都大学が「特色入試」を導入したのは、そのきっかけにすぎません。 現在の「大学入試」が知識偏重と批判されているのも、実際のセンター試験は工夫を重ねていても、肝心の受験生が知識丸暗記で解こうと狭い「試験対策」に終始していることにも問題の一端があります。改革に取り組んでいるかどうかを志望大学選択のポイントに すでに変わりつつある大学教育を見据え、高校3年間で幅広い勉強や体験を行いながら、思考力や主体性も含めた「真の学力」を伸ばさなければなりません。大学に入ってから困るのは、今の生徒たちなのです。 保護者としても、その大学が真の学力を伸ばしていくためにふさわしい改革に取り組んでいるかどうかを、わが子の志望大学選定のポイントに入れたいところです。図1 大学のカリキュラム編成上の工夫の 具体的な取り組み状況(一部抜粋)■国立 ■公立 ■私立■国立 ■公立 ■私立94.1%29for Parent 2016

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