高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2016
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for Parent 2016北海道で学ぶ4年間が社会人として活躍する力を育む東京農業大学/オホーツクキャンパス Tokyo University Of Agriculture3キャンパス6学部22学科を有し、あらゆる農学分野をカバーする東京農業大学。そのうち生物産業学部があるのがオホーツクキャンパスだ。徹底した実学教育と大自然に囲まれた環境こそ、高い就職内定率の鍵となっている。取材・文/堀水潤一38キャンパス環境とキャリア支援が相乗効果を生む緑の大地、満天の星空、多様な生物。北海道と聞いてイメージする風景が、ここにある。「この場所で4年間を過ごしたら、大きな人間に成長するだろうな」と予感させられる、広く美しいキャンパスだ。実は、同キャンパスで学ぶ学生の9割近くは関東を中心とした道外の出身。ほとんどの学生が、ある種の覚悟のもと見知らぬ土地にやってきて、一人暮らしを始めたことになる。不安は等しく同じ。頼るべきは友人や先輩。だからこそ自室での夕食に招きあうなど濃密な人間関係が築かれていく。全員が所属し、キャンパスライフの中心となる研究室の教員も、事務職員もわが子のように学生に接している。地域の人も温かい。ホタテの養殖や農産物の収穫など、都市部では経験できないアルバイトを通じて、地域に育てられてゆく。文理を超え、食、農、生物に関してさまざまな研究を行う4学科で構成される生物産業学部。無人島における海洋哺乳類の調査、寒冷地農場での農業実践、食品の開発製造、地域活性化に向けた調査といった実習、フィールドワークの数々も、生物資源に恵まれたこの土地ならでは。教育理念である「実学主義」を体現する環境で、社会に直結した生きた学問に4年間向き合うのだ。就職活動時には、学生生活や研究で鍛えられた能力、人間性が人事担当者から評価されるという。専門性はもとより、コミュニケーション力やマナー、行動力、柔軟性といった幼い頃から自然に触れることが好きで、農大出身の父の影響もあってオープンキャンパスに参加。恵まれた自然に一目ぼれしました。一人暮らしは不安でしたが、それは新入生の誰もが同じ。寮仲間の結束は固く、調味料の貸し借りも気軽にできる間柄です。北海道自然探索部では、昆虫採集や植物観賞、魚釣りや天体観測などを堪能。憧れていた植物資源保全学研究室にも入室でき、国道沿い斜面の緑化プロジェクトでは、移植したエゾスカシユリの生育調査を担当しました。開花まで何年か必要な自生種ですが、オレンジ色の大きな花が周囲を鮮やかに彩ることを期待しています。地元青森での就職も決定。森林整備や林業の活性化などを通して、地域の人に喜ばれる豊かな県づくりを担いたいです。大自然を堪能。移植した自生植物で地域を彩りたい生物生産学科/青森県立青森南高校就職先・青森県庁(林業)大谷 理嘉 さん水産系の高校で甲殻類に興味をもち、その研究の第一人者に憧れたことがここに来た理由の一つ。写真や列車が好きで、雄大な自然に対する憧れもありました。YOSAKOIソーラン同好会、北海道自然探索部、写真サークルに所属したほか、地域の町おこし団体や合唱団にも参加。幅広い方と交流を深め、物事を多角的に見られるようになりました。水産増殖学研究室では、気仙沼の干潟における生物と多様性の変化を調査。地盤沈下によって生じた干潟の生態系を調べ、復興への活用法を考察する前例のない研究です。就活は北海道を中心に行い、フェリー会社へ。北海道新幹線と組み合わせ、津軽海峡周遊の新たな観光ルートを活性化させるなど、自分を成長させてくれた北海道に貢献したいです。自分を成長させてくれた北海道に少しでも恩返しをアクアバイオ学科/東京都立大島海洋国際高校就職先・津軽海峡フェリー株式会社清水 克樹 さん

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