高校3年生の保護者のためのキャリアガイダンス
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「浪人して成績が伸びるかどうかは、生徒個々の性格によっても違います。浪人して頑張ることができるのか、よく考えさせ、最終的に自分で判断させます」 (兵庫県立阪神昆陽高校・井上仁志先生)「浪人してまで志望校を目指して頑張る気力・体力・意志などがあるかどうかです。また、浪人したからといって、学力がホップ・ステップ・ジャンプのように、ビルをひとっ跳びできるほど伸びるわけにはいきませんと力説します」 (沖縄県立八重山商工高校・箕田成範先生)「医学部など職業に関連する理系学部を目指すものの、大学にこだわってなかなかうまくいかない生徒がいる。一方で、将来のために学ぶべきことを優先して、大学名にはこだわらず、受かった学校で着実にその道を歩んでいる生徒もいる。大学が優先なのか、なりたい職業が優先なのか。そもそも何のためにその仕事をしたいのか。そういうことを、しっかり考えてもらいたいと思っています」 (北海道札幌北高校・中道洋友先生)こんな意見もありました!●高校卒業者の進学率(現役進学率)の推移「浪人が必ずしも向かない生徒もいますので、そういう生徒には別な大学の検討も勧めます。けれども、個人的には、ぎりぎり最後までなぜ粘らないのかという思いもあります。最近は、保護者の方のほうが、苦しんでいる子どもを目の前にして、『入れるところでいいじゃない』とつい言ってしまいがちなのですが、それでは諦め癖がついてしまいます。もう少し、厳しさを乗り越えていく経験をさせてあげたいという気持ちがあります」(及川先生) 受験は、一つの大きな試練。そこを頑張って乗り越えた経験が、その後の人生への自信や前向きに取り組む姿勢につながりそうです。 いろいろ揺れる生徒を前に、保護者としては何とか助けになることをしてあげたいと思うもの。自分の経験や知識などからアドバイスすることもあるでしょう。高校の先生たちも、その思いは一緒。でも、指導のプロである先生たちでさえ、アドバイスのつもりが指示になり、生徒の選択を邪魔することが何よりも怖いとおっしゃいます。「こっちのほうが受かりやすいよとか、こっちのほうがいいねとか、絶対に言わないようにしています。もしも言ってしまうと、子どもたちはそれを選択し、将来的に『自分が選んだわけじゃない』という言い訳をしてしまいます。だから、情報はいろいろ提供しても、必ず生徒自身に選ばせる。文系・理系なども、文系のほうがいいよとは絶対言いません。必ずメリット・デメリットなどをたくさん書き出し、自分で考え、選び、決断してもらいたいと考えています」(柳澤先生) それは保護者にとっても重要な姿勢なのかもしれません。そういう姿勢を保つためには、子どもの状況をしっかり把握しておくことも助けになりそうです。状況がわかっていれば、多少のことには動じることなく、話を聞いてあげることができそうですから。その点、及川先生は、子どもたちが突然言い出す「進路の迷い」への対処には、生徒の日頃の成績状況を理解していることも大きな助けになるといいます。「定期考査の結果だけでなく、模擬試験の成績の推移がわかっていると、子どもがどのような状況にいるのかがわかりやすくなります。ところが保護者にはなかなか模擬試験の結果を見せませんよね。そこは、多少うるさがられても聞いてみるといいと思います。そういう話を頻繁にしていると、何か変化が起こった時に、すぐ会話ができると思います。何で? どうしてそう思ったの? そういう投げかけで本音を聞いてあげてほしいと思います」(及川先生)「家庭の金銭的事情で急に進学を断念せざるを得なくなった場合、対応が難しいです。金銭的な支援機関を模索しつつ、生徒の精神的な支援を優先するように心がけています。不確実な時代ではありますが、教育資金はできる限り計画的に蓄えていただきたいと思います。また、奨学金など借りる場合も、後々の返済のことを考えた借り方を意識してもらえればと思います」 (東大阪大学敬愛高校・胡田裕教先生)さらに、先生たちからのアドバイス80706050403020100%45年50年55年60年2年7年12年17年22年26年昭和平成大学(学部)・短大・専門学校進学率(現役)専門学校進学率(現役)大学(学部)・短大進学率(現役)短大進学率(現役)大学(学部)進学率(現役)※〈〉は前年度の数値70.9%〈70.2〉53.9%〈53.2〉48.1%〈47.4〉17.0%〈17.0〉5.3%〈5.4〉(平成26年度文部科学省「学校基本調査」より)25for Parent 2016

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