高校生の保護者のためのキャリアガイダンス2017
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「大学」も「大学入試」も「高校」もこう変わる!大学入試センター試験を廃止して創設される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の議論が、大詰めを迎えています。対象は2020年度の高校3年生(現在の中学校3年生)からなので、現在の高校生には直接関係するわけではありません。しかし今回の改革は大学入試にとどまらず、大学教育と高校教育を一体で変える「高大接続改革」であることに注意が必要です。お子さんが入学した今年度から高校の教育も、3年後の入試も、徐々に変わっていく可能性が高いのです。 文/教育ジャーナリスト 渡辺敦司 イラスト/おおさわ ゆうて大学入試センターで一括採点するには、受験料に響くほどのコストがかかるだけでなく、現行の1月中旬実施の試験日程を12月などに前倒ししなければならなくなるというジレンマに陥ってしまったのです。 現在のセンター試験で出題されている問題は、高校の先生方から、おおむね高校教育にも目を配った良問だと評価されることが多いようです。それなのに、なぜ無理をしてまで記述式を導入するなど、新テストに替える必要があったのでしょうか。 今度の新テストは、今まで以上に「思考力・判断力・表現力」が入試で問われるようになる 新テストの創設は、2014年12月の中央教育審議会(中教審、文部科学相の諮問機関)答申で提言されながら、その後、1年間の有識者会議(高大接続システム改革会議)や、文部科学省内に設けられた改革チームでの検討を経ても、なかなかテストの在り方が固まりませんでした。焦点になったのは、マークシート方式に加えて新たに出題する「記述式問題」でした。多くの文字数を書かせ「思考力・判断力・表現力」を問うことを目指しています。記述式は、まさにその象徴です。 「表現力」といっても、創作的な作文を求めるわけではありません。データや資料の根拠に基づいて、論理的に展開する文章力が問われます。小中学校で行われていた全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB問題(主に活用)の大学入試版だ、とイメージすればいいでしょう。 注意したいのは、変わるのが記述式問題の導入だけではないということです。マークシート方式の問題も、出題傾向がより「思考力・判断力」重視に変わっていくことでしょう。 そうなると「活用」するための「知識・技能」は、高校時代にしっかりと身に付けておくことが前提になります。知識の丸覚えでは解けない問題が、ますます増えてくることが予想されます。 そして、それは現行の入試制度の下でも、徐々に出題傾向が変わるなどの変化として表れる可能性が高いと見るべきでしょう。 なぜ、そんなに急ぐのでしょうか。大学入試改革も含めた「高大接続保護者のための教育改革基礎講座27for Parent 2017

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