大学の約束2016-2017
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「嫁が人参嫌いな私のために、刻んだ人参をハンバーグに混ぜてくれた。それがおいしく感じられ、味に興味をもった」と都甲氏。都甲 潔とこう きよし●1953年生まれ。九州大学工学部電子工学科卒業。同大学院博士後期課程修了後、助手、助教授を経て現職。研究テーマは味覚センサ、匂いセンサ、感性バイオセンサ。世界で初めて「味を測る」という概念を提唱。味覚センサは世界で400台以上が使用されている。著書に『プリンに醤油でウニになる』(サイエンス・アイ新書)など。九州大学大学院システム情報科学研究院 主幹教授「味覚センサ」は、人の感じる味を測る装置です。〝感じ方〞には2とおりあり、脳で感じる味は主観、舌で感じる味は客観であると考えられます。前者の数値化は難しいけれど、後者の数値化はできる、と気づいたことが開発の発端です。普通の人なら、こんなことなかなか思いつかないですよね。では、なぜこの私にできたのか。それは、一つの学問だけではなく、複数の学問に興味をもち続けていたからだと思います。高校時代は哲学に興味があったのですが、就職のしやすさを考え、工学部に進学したんです。にもかかわらず、20代後半は、理学的な研究をしていました。そうやって、あらゆる知的好奇心を満たしてきたんです。学問を融合したミクロ・マクロ・グローバルな視点で物事を見て、自分なりに解釈したいと思っていました。それでたどり着いたのが、「味覚センサ」だったわけです。何が言いたいかというと、あまり早期に学ぶ分野を限定しないほうがいいのではないか、ということです。長い人生のなかで、高校生のうちに文系・理系の道を選ばなければならないというのは酷な話。大学2年次くらいまでは教養学部で一様に学び、それからじっくり時間をかけて専門分野を選択すればいいと思うのです。それが、これからの未来に求められる教育なのだ、と。ですから、大学入試においては文系・理系に受験科目を分けるべきではないと思います。すべてを均一に学び、すべてを評価されたほうがいい。「不得意科目の点数を1・5倍にする」などのハンデをつける入試はあってもいいかもしれませんが。こうした教育が、各々の人生を豊かにし、これからの社会を良くするための源になるのだと、私は思います。Photo:森田公司14

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