大学の約束2016-2017
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Interview:学者 未来を語る深海、火口、砂漠、南極と、世界中の辺境をフィールドワークして回っているのは生命の起源を知るため。でも私はあらゆる起源に興味があるんです。宇宙の起源も文明の起源も、全部です。人間の歴史をたどっていくと、人間だけがもっている「知識を伝承する力」、つまりコレクティブラーニングが重要な役割を果たしていて、今は世界中の人間がアクセスできるバーチャルユニバーシティ(VU)が生まれようとしています。やがて発展途上国の人々も最高級の知に出会える時代がやってきます。このことで世界の変化は明らかに加速するでしょう。世界を変える〝天才〞がいつどこで生まれるか、それはランダムであり予測できません。しかしVUによって学びの機会が増えれば、天才が天才性を発揮できる機会も増えていきます。その天才性が言葉によって広く共有されることで世界は変わっていくのです。大学はというと、こうしたコレクティブラーニングの中心にある、一つの「結節点」のような存在ですね。フィールドワークの機会を学生に与えるべきか?世界基準のセンスを身につけさせるため、明らかにそうするべきです。が、何も辺境を旅させることはありません(笑)。やはり人間と人間の出会いが大学におけるトッププライオリティ。100人いたら100の個性があることを学生には知ってほしいです。一方で私たち生物学者は地球上にいる74億人は遺伝的にホモジーニアス(均一)だと思っています。肌の色は違っても視点を変えると全部同じです。皆違うけど皆同じ、そういうことが心からわかってもらえると、私はうれしくなります。宇宙飛行士採用試験の二次選考まで残った過去まで。「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名も。長沼 毅ながぬま たけし●1961年生まれ。専門は生物海洋学、微生物生態学。1989年筑波大学大学院生物科学研究科博士課程修了。海洋科学技術センター研究員、カリフォルニア大学サンタバーバラ校海洋科学研究所客員研究員などを経て1994年より現職。深海や火口、砂漠、南極など過酷な環境に生きる生物に「生命の起源」を求めて世界各地を旅する。広島大学大学院生物圏科学研究科 教授Photo:森田公司15

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