大学の約束2016-2017
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2030年より以前に、人工知能による自動翻訳が実現しているでしょう。簡単にいうと、ドラえもんのひみつ道具「翻訳こんにゃく」の実用化です。つまり日本語を外国語に、外国語を日本語に自動的に訳してもらえる。これは日本社会、日本経済を大きく変えることになるでしょう。言葉の壁がなくなって、人材の流動性が飛躍的に高まります。教育が与えるインパクトも大きい。大学を選ぶにも、日本の大学である必然性がなくなり、世界のトップ校へ出ていく学生も増えていくことでしょう。一方で、大学で何を学ぶべきかという議論にはさまざまな視点があります。コミュニケーション能力や深い教養の重要性はこれまでと変わらないと思いますが、一つのスキル、一つの知識で一生食べていくのが難しい時代になるのは間違いありません。従って、社会に出てからも必要に応じて知識をアップデートしていかなければならない。問題は、大学がそのような場になるかどうかです。今、コーセラやカーンアカデミーといったオンラインの教育プログラムがどんどん伸びてきています。世界のどこにいても、無料で一流大学の講義が受けられる。そもそも現在の大学のように、教員一人ひとりが授業のコンテンツを作っているのは非効率なこと。誰だって良質のコ松尾 豊まつお ゆたか●1975年生まれ。東京大学工学部電子情報工学科卒業。同大学院博士課程修了。産業技術総合研究所研究員、スタンフォード大学客員研究員を経て、2007年より現職。人工知能、ウェブ、ビジネスモデルが専門。「人工知能研究における50年来のブレイクスルー」と言われるディープラーニングを研究する。東京大学大学院工学系研究科 特任准教授ンテンツを短時間でわかりやすく学べたら、そのほうがいいに決まっているからです。オンラインでは、もうその環境が実現されている。リアルの大学には社会的な「スタンプ」を押す役割が残っていくのだと思います。一定以上の学力と人間性を保証するスタンプです。その過程、つまり学びの選択肢は、今後も広がっていくはずです。自動翻訳が実現すれば、日本のローカルルールも世界にさらされる。「日本だけを相手にしてきた大学や企業は通用しなくなる」Photo:大平晋也16

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