大学の約束2016-2017
17/17

Interview:学者 未来を語るリーダーとは、答えが複数あるなかで何を選択するか、きちんと決断できる人のこと。そういう意味では、すべての人は暗黙のうちにリーダーシップを発揮しています。なぜなら、自分の人生を多様な選択肢から選び取って生きているわけですから。集団におけるリーダーシップとの違いは、決断したことを言葉にして、周囲に伝える必要があるかどうか、だけなのです。私は東京大学、ハーバード大学を行き来し、その後、開成中高の校長となって初めて、日本の高校生が高いリーダーシップの素養をもっていることに気づきました。当校を卒業する生徒たちには、毎年話しています。「君たちは18歳の集団のなかで、世界一の能力をもっている」と。とはいえ、「出る杭は打たれる」今の日本では、賢い人ほどその能力を隠します。あらゆる評価が加点主義であるアメリカと違い、減点主義の日本において、リーダーシップはなかなか発揮されないのです。しかし、未来の日本は変わるかもしれない。リーダーシップが求められていると各自が実感できる社会になれば、もともともっている素養がおのずと発揮されるはずです。大学の役割は、社会でどんな能力が求められ、どんな知識や技術、表現力が必要か、学生に考えさせる機会を与えること。また、リーダーシップを発揮する際に必要なPDCAサイクルを、卒業研究をとおして経験させることです。研究計画の立案、研究の実施、論文化、次への展望を一巡して、PDCAサイクルの方法論を習得します。この経験は、彼らが将来、新しい問題に直面したとき、あるいは新しい課題に挑戦し、解決に向けたリーダーシップを発揮するとき必ず役立てられるでしょう。柳沢幸雄やなぎさわ ゆきお●1947年生まれ。開成中学校・高等学校出身。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。日本ユニバック(株)(現ユニシス(株))を経て、東京大学工学部助手。ハーバード大学大学院准教授・併任教授、東京大学大学院教授を経て母校の校長に就任。シックハウス症候群、化学物質過敏症の第一人者。開成中学校・高等学校 校長開成中学校・高等学校では、中高一貫教育の特性を生かし、先輩の姿を見てリーダーシップを学ぶ仕組み作りがなされている。Photo:内海明啓17

元のページ 

page 17

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です