
先生・教授
| ■西洋美術のルーツを探るギリシア・ローマ考古学 |
美術 |
関 隆志教授
造形学部 美術学科美術史・美術理論コース
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美術の歴史は社会や文化と深く関わり、現在の私たちの生活を読み解くカギにもなる。
- ■考古学は古代ギリシアの美術研究からスタートした
- 「考古学というと、誰もが縄文遺跡やエジプトのピラミッドの発掘などを思い浮かべるでしょう。それはもちろんその通りですが、考古学という学問が古代ギリシアの美術研究からスタートしたものだと知る人は少ない」。西洋美術史の専門家として、特に古代ギリシアの美術を研究している関先生はこう話す。
「私の専門も正確に言えば、ギリシア・ローマ考古学ということになります。考古学と訳されるアーキオロジーは17世紀にできた言葉で、本来、古代ギリシャの学問を意味しています。そして、古代ギリシャの建築、彫刻、絵画が高い芸術性を示していた関係で、アーキオロジーは美術史のルーツともなったのです。その意味で、私は美術史の研究家でもあるのです」。
- ■価値観の転換によって破壊された古代ギリシア美術
- 古代ギリシアは、後のヨーロッパの絵画や彫刻の表現技法の基礎を作り上げた。その後、ローマ帝国に征服されたものの、ローマ人はギリシア人と同じ多神教の民族だったため、ギリシアの神々や優れた芸術作品を認め、その作品をコピーして文化を受け継いでいた。ところが、一神教のキリスト教世界が力を持つようになると、多神教の神や英雄を描いた古代ギリシアやローマの宗教美術は邪教の偶像として破壊の対象となったという。
「たとえばギリシアの彫刻にはブロンズ像が多かったのですが、当時、ブロンズは高価な物だったのでほとんどが潰されて、実用器具などに転用されていきました。その後、中世を経てルネサンスの時代に古代ギリシアやローマの文化は再評価されます。19世紀になると、パルテノン神殿の装飾彫刻など遺跡に残っていた作品が発掘されていきます。私が研究しているのは壺絵ですが、古代ギリシアは地中海世界にたくさんの陶器を輸出していたので、イタリアの遺跡などにそうした陶器が残っていたのです」
- ■人物を斜めから描く表現技法も元祖は古代ギリシア
- 現在、肖像画には人物を斜めから見て描かれたものが多い。これは4分の3プロフィールと呼ばれ、平面の作品に立体的な奥行きを生み出すための技法だが、発案したのは古代ギリシア人だった。
「エジプトの壁画などがそうですが、古代ギリシア以前、肖像画は人物を真正面から描くか、真横から描くかのどちらかだったんです。2500年前のギリシアにおいて、人物の左右のバランスを崩す重心の移動によってダイナミズムを生み出すコントラポストという彫刻の表現技法が誕生しています。4分の3プロフィールはおそらくここから生まれたもので、要するに自然な表現を追求した結果、編みだされた技法だったんです。絵画の明暗法や遠近法も一般的にはルネサンス時代に生まれたと言われていますが、経験的には古代ギリシア時代にすでに存在していました」。 美術史というと特殊な世界と思われがちだが、関先生は美術の歴史は人間の歴史そのものだと言う。その歴史は社会や文化と深く関わり、現在の私たちの生活を読み解くカギにもなる面白い世界なのだ。
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