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「好き」だけじゃダメ?「アイドルライター」になるには?

「好き」だけじゃダメ?「アイドルライター」になるには?

篠本634(むさし)さんは、AKB48をはじめとするアイドルへのインタビュー経験が豊富な“アイドルライター”だ。

 

人気が爆発するずっと前からAKB48に注目し、これまで週刊プレイボーイのAKB48連載記事や多数のAKB48関連の書籍やムックを手掛けてきた。

 

また、自ら立ち上げた編集プロダクション「shortcut8」の代表も務める。

 

どうやってアイドルライターになったの?

アイドルが好きだったからなったの?

もしなりたいと思ったら、どんなことをすればいいの?

 

…高校生のみんなも気になる質問を篠本さんにぶつけてみた。

 

「好き」だけじゃダメ?「アイドルライター」になるには?_01

 
 

■暗かった中学時代、部活だけの高校時代

 

今はアイドルライターとして確かな地位を確立している篠本さんだが、それは「小さいころからの夢」だった、というわけではない。中高時代はむしろ「インタビューする」「文章を書く」といったことからは遠いところにいたようだ。

 

「中学時代は勉強も運動もできず、誰とも話さない透明人間のような子でした(笑)高校は偏差値が50に満たない学校で、レスリング部に入って3年間部活しかしていなかったですね」(篠本さん、以下同)

 

唯一の格闘技系の部活で、怖い先輩が集まっていたレスリング部。「怖くてやめられなかった」というが、そこでの経験が篠本さんを社交的な人間に変えた。

 

「ぼくを変えたことの1つは、先輩からムチャぶりされたこと。例えば『前にいる女子高生に告白してこい』とか。やらないで先輩に殴られるよりはマシ、と奥歯かみしめて指示どおりやるうちに、結果として度胸がついた気がします。その点だけは良かったですね。
もう1つは、強いやつとおもしろいやつは先輩にいじめられないと気づいたこと。ぼくは強くないので、できるだけおもしろいことを言おうと努力しました」

 

高校卒業後、美術が好きだった篠本さんは、阿佐ヶ谷美術専門学校(3年制)に進学し、グラフィックデザインを学んだ。専門学校卒業後は、先輩をまねてフリーのデザイナーに。そのうちイラストの仕事にも興味をもち、イラストレーターとしても仕事をするようになる。

 
 

■ライターになるには、文章力よりコミュニケーション力!?

 

23歳の時、当時流行していた、ブログのようにネット上にコラムや日記を発信する「テキストサイト」を、プライベートで始める。すると、メールや掲示板で「おもしろい」と評判に。「これは仕事にできるのではないか」と、イラストの仕事をもらっていた編集部に営業。ライターとしての初仕事として、街を行く女の子のスナップ連載企画を任される。

 

その小さなチャンスをきっかけに、ライターの仕事を現場で覚えながら、コラムやインタビュー記事など長い文章も書くようになっていった。しだいにライター業に専念するようになり、28歳の時には編集プロダクション「shortcut8」を立ち上げ、一人ではできないような大きな仕事にも取り組んでいった。

 

そうした転身や業務拡大を支えたのは、もちろん中高時代から小説を読むのが好きだったという篠本さんの文章力や取材力もあるが、それだけではないようだ。

 

「編集者と話す機会があれば、ぼくは相手が喜びそうなネタをたくさんもっていき、『最近こういうのがはやっていますよ』『こういうことやりたいんですよね』と熱っぽく話すんです。すると、興味をもってもらえたり、名前を覚えてもらえたりして、仕事につながることもあります」

 

というのも、ライターの仕事は「良いものを作っていれば仕事がくる」という単純なものではないからだ。

 

「まず最初の仕事のきっかけを得るには、『この人と仕事したらワクワクしておもしろいんじゃないか』と思ってもらうこと、つまりコミュニケーション力が大事だと思います。最近は、コミュニケーションを重要視するライターが 減っているからか、印象に残っているのかもしれません」

 

「好き」だけじゃダメ?「アイドルライター」になるには?_02

 
 

■AKB48を見て「売れる」と確信。取材し続ける

 

最初は特定の分野はなくライターの仕事を始めた篠本さんだが、アイドルライターとして活躍するようになったのは、AKB48との出会いが大きい。

 

まだ結成されて間もないころ、記事の情報収集のため、篠本さんは週刊プレイボーイの編集者と共にAKB48の秋葉原の劇場を訪れた。そこでメンバーとの距離感の近さや歌やダンスの多彩さにビックリした篠本さんは、「売れないわけがない」と確信。

 

「いつか彼女たちが売れた日に一番良い場所で仕事ができるように応援していこう」と、編集者と誓い合う。

 

なかなか人気が出ない時期が数年続いたが、篠本さん は自分の感覚を信じて取材し続けた。そして、いよいよAKB48の人気が爆発した時、篠本さんは、他誌ライターよりも深い知識をもってAKB48を取材することができたのだという。

 

「仕事でイヤだなと感じる時はあまりなく、ほとんど楽しいことしかしていないかも…。特に原稿を書き上げて、『読者にバシっと伝わるものが書けたぞ!』と感じる瞬間が快感です。今後は、引き続きアイドルの取材や本作りをしていくとともに、取材対象や制作物のバリエーションを広げていきたいですね」

 

「好き」だけじゃダメ?「アイドルライター」になるには?_03

 

篠本さんが一般的なライターと違い、得意分野をもつ「アイドルライター」として活躍できたのは、やはり自分が「おもしろいもの」を探求し続けたり、やってみたいことのネタをたくさんもっていたからなのではないだろうか。

 

アイドルが好きな高校生が篠本さんを目指すなら、アイドルだけではなく広い視野で話題になりそうなものを探したり、世の中の動きにアンテナをはったり、いろんな立場の人とおもしろく話してコミュニケーション力を磨いたりするといいかもしれない。

 

 
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藤崎雅子 編集者・ライター

藤崎雅子

高校の先生方向けキャリア教育の専門誌にて、全国の高校の取り組みを取材しレポートする連載を担当するなど、教育関係の雑誌やサイトを中心に活動。ほか、二児の母としての目線を生かした様々なテーマの取材・執筆活動を行っている。

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