プロバスケ選手で公認会計士! 岡田優介さんの文武両道のススメ

「毎日部活に明け暮れて勉強する時間がない」
「部活も勉強も頑張りたいけどモチベーションが続かない」
と、あきらめているキミ!
 
2016年9月に開幕した男子バスケットボールのBリーグには、超一流の文武両道の選手がいるって知ってた?
 
バスケ日本代表選手として活躍しながら、超難関といわれる資格の“公認会計士”試験に合格したスゴイ経歴をもつ「京都ハンナリーズ」の岡田優介さん。
 
知的トップアスリートとして注目を集める岡田さんが、どうやって勉強とバスケを両立させてきたのか聞いてみた。
 

宿題は休み時間に、テスト前だけ集中して勉強

 

 

「バスケを始めたのは小学5年生。
 
身長170cmと高かったから、たくさん点を取れるのがおもしろくて!
  
当時からプロになると決めていました。
 
中学は公立でしたが東京都選抜メンバーに選ばれたこともあり、高校進学時にたくさんの強豪校から声をかけてもらったんです。
 
その中には都内の自宅から近い進学校もありましたが、勉強は自分でいくらでもできると考え、バスケ第一! 
 
日本一を狙いたくて、茨城県の土浦日本大学高等学校を選びました」

 
バスケ推薦で入学したが成績も優秀だった岡田さん。
 
部活の練習は16時~18時とあまり長くなかったが、その後20時半くらいまでシュート練習などをして、朝も7時~8時半まで自主練習
 
寮生活をしていて、いつ勉強していたのだろうか?
 

 

「小学生の時から、宿題は休み時間に片付けていました。
 
バスケまみれの毎日が楽しく充実していて、とにかく少しでも長くやりたくて、練習時間を確保するため、学校にいる間に勉強してしまおうと思って。
 
高校でも、定期テスト前以外ほとんど寮の机に向かって勉強することはなかったですね。
 
普段の授業に集中していれば十分。
 
テスト前は1日2~3時間くらいメリハリをつけて、ダラダラやらないようにしていました。
 
それと、寮の食堂で同級生に勉強を教えることも多かったのがよかったと思います。
 
人につたえるためには自分がきっちり理解していないとおしえられないので、僕自身の勉強にもなりました」

 

大学はバスケも勉強もレベルが高い環境を選んだ

 

 
日本一の夢はかなわなかったものの、高校3年の時のインターハイで3位になり、大会得点王と3ポイント王に輝いた岡田さんには、複数の大学からバスケ推薦入学の声がかかった。
 

「高校ではバスケ第一で選んだけれど、大学は、バスケが強くて、勉強もできる環境で学びたかった。
 
もともと勉強は好きだったし、まわりのレベルが高ければ高いほど、自分もさらに高いところへ行けると実感していたので」

 

早稲田大学と青山学院大学のどちらを選ぶか迷ったが、早稲田は当時2部リーグだったため、1部リーグの青山学院に決めた。
 

「迷ったら最終的にはバスケ。
 
何が自分に一番大切なのか考えたとき、軸足は必ずバスケに置いていました

 

 
バスケ部が強くて、練習環境も整っていた青山学院を選び、その中で当時一番偏差値が高かった国際政治経済学部へ入学。
 
奨学生に選ばれるほど優秀な成績を修めていた。
 

「得意な英語と数学のスキルを高めたかった。
 
英語はバスケでも外国人選手とのコミュニケーションに必要だし、数学は物事を論理的に考えるのに役立つと思って。
 
国際政治経済学部は英語の授業が多く、ネイティブスピーカーの友達ができたし、経済学は今の僕の考え方のベースになっていると思います。
 

せっかく大学へ通っている以上、しっかり授業にも集中して、通学の電車の中ではバスケの練習で疲れていても寝ないで勉強。
 
これは僕の性格ですけど、いろいろなことにチャレンジして大変な思いをするほうがモチベーションも上がり、相乗効果をもたらすんです。
 
1つのことだけやっていると集中力が続かない。
 
実は飽き性なんですよね」

 

公認会計士を目指したのはバスケの知名度を上げるため

 
負けず嫌いで、バスケでも勉強でもトップを目指していた岡田さんが公認会計士の勉強を始めたのは、大学3年生の時。
 
公認会計士とは、企業の財務諸表や税額などを第三者の立場で公正にチェックして内容を証明する仕事。
 
弁護士などと並び、日本三大国家資格の1つといわれる超難関資格だ。
 

「卒業に必要な単位はほとんど取っていて、空き時間が増えるから、何もしないのはもったいないと思ったんです。
 
10年後、20年後のことを考えたとき、普通のバスケ選手でいいのかな、自分にしかできないことってあるんじゃないかな、と」

 
そこで目指したのが「プロバスケ界の実情を知っている公認会計士」。
 
引退後の転職ではなく、現役のプロバスケ選手として活躍しつつ、非常勤ながら公認会計士の仕事もこなす二刀流は、日本全国を探しても岡田さんしかいない。
 

「単純に、珍しいですよね。
 
自分が知名度を上げて注目されれば、バスケの知名度も上がる。
 
難関の国家資格を取得すれば社会的な信頼度が高くなり、僕の話を聞いてもらえるようになるし、人脈が広がると思ったんです」

 
岡田さんは日本バスケットボール選手会の初代会長を務めていたが、選手会を立ち上げるときも、資格を持っていることで「岡田の言うことだったら信用してみようか」という求心力につながったという。
 

大切なのはプランニングとモチベーションの維持

 

 
プロバスケ選手になってからも通信講座で公認会計士の勉強を続け、約5年かけて国家試験に合格した時は、日本代表チームでも活躍していたというからスゴイ。
 
どうしたら、文武両道が貫けるのだろうか?
 

「受験勉強は、試験当日に自分の状態をピークをもっていくためのプランニングが大事なんです。
 
人間の記憶力には限界がありますから。
 
僕だって1日10時間勉強していたことはあるけれど、それを年がら年中続けるなんて無理。
 
高校時代、試験前に集中して勉強したのと同じですよ。
 

バスケも、これに近いと思うんですね。
 
試合の時に100%のコンディションになるように、もっと細かくいうと第4クォーターにピークをもっていく。
 
どういう練習、どういうプレイをしたら、最後にピークがくるようになるのか、常に考えています」

 
試合終盤に勝利を決定づける、ここぞというときに鮮やかな3ポイントシュートを決める岡田さんのプレイスタイルの秘密は、こうしたプランニングにあったのだ。
 

「勉強がつらいと思っていたら絶対に続かない。
 
なぜ勉強するのか、その知識を得ることで自分がどうなるかを考えると楽しくなると思うんです。
 
僕は、日本に一人しかいない存在になるために資格を取るんだ、という目標に向かってモチベーションを維持していました。
 

あとは自分の性格を客観的に見てみる
 
こいつをどうやったら頑張らせることができるんだろうって。
 
人に言われた通りにやるのではなくて、自分ってどういう人だっけ?どうすれば力を発揮できるかな?と考えて、最も自分に合った効率的な方法で勉強すれば、道が開けると思うんです」

 

スリリングな時間との闘いがバスケの魅力

 

 

「とにかくバスケが大好き」という岡田さん。
 
最後に、その魅力について聞いてみた。
 

最後の1秒、0.何秒まで勝敗がわからない。
 
さらに、5秒以上ボールを保持してはいけないとか、24秒以内にシュートしなくてはならないとか、厳密な時間との闘いで勝敗が分かれることもあるスリル。
 
その臨場感は会場で観ないと体験できないから、ぜひ試合を観戦してほしいですね。
 

今までの日本のバスケ界では、自分がやることに一所懸命で、人のプレイを観る文化があまりなかったんです。
 
だからバスケ部でもプロの試合を観たことがない高校生は多いと思います。
 
Bリーグが発足して、日本全国でプロの試合を観戦できるようになったから、真剣勝負を観て、たくさんのことを学んでほしい。
 
バスケをしていない人でも、知らない世界を見ることは刺激になるし、自分の感性の幅が広がると思うんです」

 

「バスケをもっと広めたい」その一心で頑張ってきたから、バスケと勉強の両立は確かに大変だったけれど、つらくはなかったという岡田さん。
 
キミたちも、「自分が勉強する意義」を考えてみよう。
 

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岡田優介
Bリーグ・京都ハンナリーズ所属。
 
プロバスケ選手として日本代表チームでも活躍しながら、公認会計士試験に合格。
 
新日本有限責任監査法人にて非常勤で勤務するほか、私塾岡田優介会計塾の講師、3人制プロバスケチームDIME.EXEのオーナー、渋谷の飲食店Pizza&Sports DIMEの経営など、マルチな活動を行っている。
 

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