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世界のヒトとモノを『道』でつなぐ! 日本が進める『連結性』とは?

世界のヒトとモノを『道』でつなぐ! 日本が進める『連結性』とは?

もうすぐ新学期が始まる!
 
夏休み気分がぬけなくて朝起きれない人も多いと思うけど、それでもなんとか、自転車を飛ばしたり、電車に乗れば間に合うって人も多いのでは?
 
でも、ちょっと考えてみてほしい。学校までの距離をぜんぶ歩いて行かなければならないとしたら…?
 
世界に目を向けると、「道がない」「乗り物がない」という理由で、学校へ行くのに山道を何時間もかけて歩いて通う子どもたちもいる。
 
そういった国のために、日本が道路や鉄道などをつくるための開発途上国の取り組みを支援するのがODA(政府開発援助)。
 
開発に必要な資金を提供したり、日本の優れた技術を使って、開発途上国の人たちの暮らしを支える「インフラ」をつくっているんだ。
 
では、具体的には何をしているんだろう?
 
そこで、外務省でODAの政策づくりに取り組む、金戸健太郎(かねと・けんたろう)さんにお話をうかがった。

 

国の成長・発展に欠かせないインフラ(道路、橋、鉄道、空港、港)づくりを支援する

金戸さんが働いているのは、外務省国際協力局の国別開発協力第2課。
 
南西アジア、中央アジア・コーカサス、中南米の国々へのODA政策を担当する部署だ。

「自分の課が担当する国の数は48カ国になります。それぞれの国で支援の内容は異なりますが、特に、規模の大きいインフラづくりが多く進められている南西アジアを例にお話したいと思います」

世界のヒトとモノを『道』でつなぐ!日本がつくる連結性とは?

※写真はブータンに出張した際に、同国の外務省の職員と撮影した一枚。「入省して10年で世界約40カ国を回りましたが、1番印象深かったのはブータンでした」と、金戸さん

 

南西アジア地域には、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブといった国がある。
 
近年、国を挙げて経済振興政策に取り組み、成長している地域で、日本をはじめとする海外企業の進出も増えている。より発展するためにインフラづくりが必要とされている。
 
インフラとは、人の生活や、モノを売ったり買ったりする経済を支える基盤となるもの。
 
なかでも日本が力を入れて支援しているのが、地域の連結性の向上に向けた取り組み。
 
世界のヒトとモノを『道』でつなぐ!日本がつくる連結性とは?

※外務副大臣(当時)のパブアニューギニア訪問に同行した際の1枚(金戸さんは左手前)。「普段なかなか行けないような国を訪問し、重要な仕事にかかわることができるのも外交官の仕事の魅力です」

「連結性は英語でconnectivityと書きます。簡単にいうと【つなぐ(connect)】ということです。
 
開発途上国でインフラが整備されると、いろいろな国や地域のヒト、モノがつながっていけるので、さまざまに発展していける可能性が生まれます。
 
ヒトやモノをつなぐためには、それを結ぶ『道』を陸・海・空につくることが重要です。
 
道は村と市場をつなぎ、豊かなヒトやモノの移動を通じて経済的な恩恵をもたらすだけでなく、学校や病院などにもつながり社会的なサービスを利用できる。
 
『道」は、まさにわれわれの世界を広げるために重要なインフラなのです」

日本の支援で現地の人の暮らしはどう変わる?

 
世界のヒトとモノを『道』でつなぐ!日本がつくる連結性とは?

※エネルギー外交の仕事をしていた際に最も多く訪問した国のひとつがアラブ首長国連邦(UAE)。「出張のたびに時間をみつけて訪れましたが、その美しさに仕事の疲れも飛んでいきます」

「自動車、電車、船、飛行機が発明され、人類は遠い距離をより早く移動できるようになりました。
 
しかし、自動車や電車が走るためには道路や川を渡る橋が、海を航行するためには玄関となる港湾が、空を飛ぶ飛行機には空港がそれぞれ必要です。こうした世界中の『陸・海・空』の点(駅、港湾、空港)を線(道路・線路、海や空の航路)で結び(connect)、ヒトやモノの移動を活性化させて、一大経済圏としてのポテンシャルを引き出し、地域・世界全体の成長・発展に貢献していくという発想が連結性の考え方です。
 
世界中から食糧や資源を運べるのも、海外旅行に行けるのも、こうした取り組みの積み重ねがあるからです」

 
インフラが整備されると、どんな可能性が生まれるのかイメージがつく?
 
いくつか例を挙げて紹介しよう。

●道路や線路をつくる
整った道路や線路がないと自動車も電車も走ることができません。電車は自動車よりも多くの人を早く運ぶことができる。車や電車がなかったら学校や職場に通うのも大変。
●川に橋を架ける
川に橋がないために、学校や職場などへ行くのに遠回りをしたり、1日に数便しかないフェリーを利用するしかなかったのが、橋があることでアクセスが便利になる。
●港をつくる
海上交通の駅にあたるのが港。多くの人やモノを運んだりおろしたりするために、大型の船が出入りできる港が必要。日本はエネルギーや食料の多くを海外から輸入していますが、石油、ガス、小麦、大豆等の多くの資源・商品が船を使って運ばれている。
●空港をつくる
飛行機を利用すれば、世界各国へビジネスや旅行に出かけていける。それには、発着場である空港がなくてはならない。

世界のヒトとモノを『道』でつなぐ!日本がつくる連結性とは?

※外務大臣政務官(当時)(左)とアルバニア大統領(右)との会談の様子。金戸さんは通訳(中央)をつとめた。

 

日本のODAでつくられたインフラが外国の記念切手に!

 
世界のヒトとモノを『道』でつなぐ!日本がつくる連結性とは?
このようなインフラ整備をODAによって支援し、開発途上国の成長・発展を手助けする。
 
日本にはどんなメリットがあるの?

「日本もかつては、援助を受けていました。第二次世界大戦が終わった直後の日本は貧しかったのです。
 
しかし、そのような状況から世界銀行からの支援を受けて、東海道新幹線や東名高速道路などの『道』をつくる分野や、電力・鉄鋼等の基幹産業の大型事業が復興・発展し、その後、世界的な経済大国に成長したのです。
 
経済の土台となるインフラを整備することで、経済成長を実現したという日本の経験を、開発途上国に一つのモデルとして示すことも重要です。
 
また、ODAを通じて、日本の質の高い技術を現地の人に知ってもらえることです。
 
日用品でも家電製品でも、日本製品は品質がよくて丈夫で長持ちするので、世界で高く評価されています。それは、鉄道、空港、発電所などのインフラでもそうです。
 
日本の高い技術で、環境にやさしく、災害にも強く、故障もなく長く安心・安全に使うことができるのが日本の強みです。
 
開発途上国だけではなく、その国を訪れる日本人や、ビジネスを行う日本企業にもメリットがあります。鉄道や空港・港はその国の人だけでなく、その国を観光で訪れたり、ビジネスを行う世界中の人々も広く使うことができます。
 
また、ODAで発電所や下水道施設を整備することで、その国を訪れる人たちも等しく、電気やきれいな水にアクセスすることが可能になります。
 
ホテルや職場でしょっちゅう停電する、蛇口をひねっても水が出ない(または真っ茶色の水が出る)、交通渋滞で全然移動ができない、こうした問題・課題をODAを通じて支援することは、現地の人のみならず、その国を訪れる日本人を含む世界の人たちからも感謝されるものであると思います」

 
日本のODAは、日本にとっても、世界中の人にとってもメリットがあるんだ。

「これまで日本のODAで開発途上国にさまざまなインフラがつくられていますが、現地の記念切手やお金のモチーフになったものがいくつもあります。橋や高速道路などが開通した記念と、日本に対する感謝の気持ちが示されていると聞いています」

 
外務省のホームページの中でも紹介されているので、興味のある人はのぞいてみて!
 
外国の切手・貨幣になったODA
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/hanashi/index.html
 

その国の歴史の一端にかかわることができる!

 
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※語学を生かして、交渉や会合の通訳を行うのも外交官の重要な仕事の一つ。写真は外務大臣政務官(当時)とマケドニア首相との会談の模様(金戸さんは右手前)。

 

そんなスケールの大きいODA事業に携わる金戸さん。
 
現在、金戸さんが携わるODAプロジェクトのなかには、インドに新幹線を走らせるという案件がある。

「インド最大の商業都市ムンバイと工業都市アーメダバードを結ぶ、約500kmのルートに日本の新幹線を導入しようとするプロジェクトです。
 

これは、日本とインドの『新時代』を象徴する案件とされていて、そのような日印関係を強化するための重要な事業の一端に自分もかかわれていることに、よろこびを感じます」

 

高校生の皆さんへ

金戸さんが外交官を目指すようになったのは、高校2年生の時。
きっかけはなんだったんだろう?

「世界史と英語が好きで、外国にかかわる仕事をしたいと思っていて、ある時なんとなく父親に相談したんです。
 
そしたら、『外交官か国連職員とかになってみたら?』と軽く答えが返ってきて。
 
そこで高校生向けの仕事紹介本で調べたら『外交官は国を代表して国際社会を舞台に活躍する』と書いてあって、かっこいいなと(笑)」

 
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※アメリカの大学院留学時代(ボストン)。学園祭で和太鼓のパフォーマンスを披露。

 
高校時代の夢をかなえた金戸さんからアドバイスをいただいた。

夢をもつこと、あきらめないことが大切です。少なくとも3回失敗するまでは自分を信じて粘ってみましょう。
 
まずは失敗しないことが重要ですが(笑)。自分は最初の大学受験に失敗し、浪人しても第一希望の学校に行けませんでした。自分にとってはすでに2回の失敗です。
 
それでもあきらめずに入学した学校でミッチリと学力と心身を鍛え直し、最後には外交官になるという夢をかなえることができました。
 
ちなみに、大好きな妻にも、過去2回振られ、3度目の正直で誠意が伝わり、無事結婚までこぎつけました(笑)。
 
われわれの世代が大好きな漫画『スラムダンク』の『あきらめたら、そこで試合終了ですよ』の精神を共有する仲間は省内でも多いですね。
 
これから受験に当たり、不安なことも自信をなくすこともあるかもしれません。
 
時間の制約があるとか、自分には才能や能力がないかもしれないとか、必要な条件が備わっていないということはたくさんあります。
 
それでも前に一歩踏み出すことが大切です。すべて自分の心次第で風景が変わります。
 
弱い性格は強い信念で克服でき、コンプレックスや劣等感は成長の種になり、養分になり得ます。
 
いろんな困難や逆境を乗り越え、受験を通して成長していく自分を信じ、最後までくじけずに駆け抜けて、夢をかなえてください!」

成績や進路のことで悩んでいるキミ、ヒントにしてみて!
 
世界のヒトとモノを『道』でつなぐ!日本がつくる連結性とは?

(プロフィール)
金戸健太郎
外務省 国際協力局 国別開発協力第2課 課長補佐
 
大学では法学部政治学科で学び、2007年に外務省入省。
 
総合外交政策局国際平和協力室、国際法局経済条約課で働いたのち、入省3年目に在外研修でアメリカのタフツ大学フレッチャー法律外交大学院へ留学し、安全保障とアジア太平洋地域について専攻。
 
帰国後、南部アジア部南西アジア課、内閣官房日本経済再生総合事務局、経済局経済安全保障課、伊勢志摩サミット準備事務局、外務大臣政務官秘書官、経済局国際経済課/欧州連合経済室を経て、2017年2月より現在の業務に携わる。

 
*海外出張の必需品*
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<これまでに海外出張で訪れた国は約40カ国。海外出張の際に必携するバッグとパスポートケース、愛用のカメラ>

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小林裕子 フリーランスライター

小林裕子

出版社などで編集を経験し、フリーに。情報誌やWebサイトで仕事、資格、地域コミュニティ、住宅、生活スタイルなど幅広い分野で活動しています。さまざまな世界で活躍するプロフェッショナルを取材し、高校生の役に立つ情報をお伝えしていきたいです。

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