介護福祉士&社会福祉士、W資格で広がる福祉業界のキャリア

■「重労働、低賃金」というイメージは、本当?

 

「人の役に立つ仕事がしたい」「人と触れ合うことが好き」という高校生にとって、介護・福祉業界は気になる選択肢の一つだろう。

 

しかし、興味はあっても、「ずっと体を使った仕事を続けるのはキツいかも…」「お給料が安いって聞いたけど…」と二の足を踏んでいる人も少なくないのでは?

 

では、実際のところはどうなのだろう? 日本社会事業大学・社会福祉学部の田中由紀子准教授に話を聞いてみた。

 

「介護・福祉業界の労働環境に関してはイメージが先行している面が大きいですね。マスコミではネガティブな面ばかりが強調されてしまうので。実際に本学の社会福祉学部・福祉援助学科・介護福祉コースで学んでいる学生の2~3割は、この分野に進むにあたって保護者に反対されています」

 
 

■福祉機器の発達で肉体的な負担は軽くなっている

 

しかし、田中先生によれば、一定規模以上の社会福祉法人であれば決してほかの業界と比べてお給料が低いわけではなく、福祉機器が発達したおかげで身体介護の肉体的な負担もだいぶ軽くなっているという。

 

こうした実態はなかなか業界外の人たちには伝わっていないのが現状だ。

 

「確かに運営母体の状況によっては、給料が安い場合もありますが、それはほかの業界も同じ。しっかりと就職先を選べば、十分に将来への見通しも立つ業界なんです」

 

介護福祉士&社会福祉士、W資格で広がる福祉業界のキャリア

 
 

■相談業務やマネジメント業務などにキャリアアップできる

 

また、そもそも福祉業界の仕事は、現場でお年寄りや障がいを抱えた人たちを直接介護する仕事ばかりではないと田中先生。

 

「介護職として現場で身体介護の経験を積むことは非常に大切です。要介護状態の方や介護をしている家族の生活を理解することで適切な介護プランにつなげられるからです。経験を重ねた後は、社会福祉士の資格を生かして相談業務に移ったり、ケアマネジャー(介護支援専門員)として介護サービスのプランを考えたり、施設のマネージャーとして現場をまとめたりといったステップアップの道筋もあります」

 

経験を生かしてキャリアアップできる──この点も実はほかの業界と大きな違いはない。

 

ただし、福祉業界では、特定の仕事をするためには資格が必要とされることが多いので、最初から計画的に資格取得プランも考えておくことが、キャリアアップの大きなポイントだ。

 

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■オープンキャンパスで積極的に情報収集しよう

 

福祉系の大学などでは、介護福祉士と社会福祉士の両方の受験資格を得られる学科やコースも多い。介護福祉士だけでも十分就職はできるが、早めに社会福祉士も取得しておけば、相談業務への転身を視野に入れながら働くことができるというメリットがある。

 

ちなみに、ケアマネジャーの受験には5年以上の実務経験などが求められるので、いつごろ受験するかを意識しながら準備を進めておけば、こちらも効率的な資格取得&キャリアアップが実現できる。

 

 

このように、福祉系の進学先を検討する際には先々のキャリアまで意識して、カリキュラムや取得できる資格をしっかりチェックすることがポイント。

 

わからないことがあればオープンキャンパスなどで丁寧に教えてもらうこともできるので、積極的に足を運んでみよう。

 
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