世界を夢見るホテルウーマンに聞く「学生時代はこう過ごせ!」

現在、名古屋のホテルでインターンシップをしている青木夢乃さんの夢は、世界を舞台に活躍するホテルウーマンになることだ。
 
高校生になるまで日本を出たことがなかったが、この5年間に暮らした国は日本のほかにアメリカ、スイス、ドバイの3カ国に及ぶ。転機になったのは、高校時代にした「ある決断」。
 
今回は、国境を越えた進路選択に迫ってみよう。
 

「留学したいと思っているのに、なぜしないの?」

 
小学生の頃からダンスが好きだった青木さんは、ダンス部のある公立高校を選んで進学。
 
勉強よりも部活に熱中していた高2の冬、インドネシアからやってきた高校生のホームステイを2週間受け入れることに。それが、世界に飛び出すきっかけとなる。
 

 

「留学生と話すなかで、私が何気なく『私も海外に行きたいな』とぽろっと口にしたんです。そうしたら、『なんで行きたいと思っているのに行かないの?』と言われ、ハっとしました」(青木さん※以下同)

 
あ、そうか、行きたいなら行けばいいんだ!
 
それまで留学は現実感のない淡い希望だった。しかし、現実のものにする・しないは自分次第だと気づき、高校留学に向けてすぐ行動を起こした。
 
周りが大学受験のための夏季講習に通うなか、ひとりAFSの高校留学に応募。高3の夏、夏期講習に通う同級生を尻目に「アメリカに行ってくるね!」とひとり旅立ったのだ。
 

「型に はまった生き方でなくてもいいんだ!」と実感

 
約1年間のアメリカ留学生活は、決して順調ではなかった。
 

「いきなり現地の高校に放り込まれ、右も左もわからない。先生に聞きたくても、英語が話せないし、聞き取れもしない。友達がいないから、相談もできない。毎日疲れてぐったりしていました」

 
しかし、そんな状況も3カ月まで。片言でも本音を言える友達ができ、つらい気持ちも吐き出せるように。ホストチェンジして大家族のもとで生活するようになると、会話する機会がぐんと増え、英語力もついていった。
 

「留学生活はこれまでの人生で一番つらかったですが、それだけに成長しました。この時の苦労を思えば、ちょっとぐらい大変なことがあっても耐えられます」

 
この留学生活で、進路観も変化した。
 

「アメリカにはいろんな進路のステップを踏む人がいました。飛び級したり、留年したり、大学を2年で辞めて別の大学に移ったり…。それでみんな幸せそうなんですよね。同じ時期に大学に行って新卒で就職するという、型にはまった生き方じゃなくてもいいんだ、と思うようになりました」

 

将来の可能性のために、あえて険しい道へ

 
帰国して高3に戻って進路を考えた時、青木さんが選んだ卒業後の進路は、スイスにあるホテルの大学だった。
 
「ホテルのおもてなしには、観客を楽しませるダンスに通じる喜びや達成感があるのではないか」と留学前からホテルの仕事に興味をもっていた。
 
アメリカ留学中に仲良くなったスイス人の友達から、スイスはホスピタリティ発祥の地で、ホテルスクールのレベルが高いと聞いたことがきっかけで、スイスのホテルを考えるようになったという。
 

「日本で働きたかったら日本の専門学校でもいいけれど、留学経験を通じてあまり国境を意識しなくなっていた私は、世界を舞台に働きたかったんです。世界中から学生が集まるスイスのホテルスクール(大学)なら、教育の質が高いだけでなく、世界中にコネクションができます。将来の可能性のために、思い切って険しい道を選びました」

 
自分でインターネットで大学を調べ、書類や志望理由エッセイの提出、Skypeによる面接などを経て、スイスの大学に進学した。
 

 
大学では、ホテルの仕事の基本を最初の2年間で学び、その後は現場でインターンシップを経験してから卒業する。「中東に行ったことがなかったのと、イスラム文化にも興味があった」ということで、最初のインターンシップ先にはドバイを選んだ。
 

 

世界的なホテルのブランドを育てる仕事を目指して

 
大学を卒業したら、活躍の場をひとつの国にとどめたくないという青木さん。世界的なブランドのホテルで、そのブランドをより発展させていくようなマネジメントの仕事ができるようになることが目標だ。
 
青木さんの挑戦の源にあるのは「好奇心」だという。
 

「何でも好奇心をもって、勢いで飛び込んでいったのがよかったのでは。そのたびに大変なことがありましたが、それを乗り越えて少しずつ自信がついて、また新しい挑戦ができました。その経験のすべてが今の自分に生きています。『いつかは』と思っているだけでは、その日はやってきません。高校生のみなさんも、やらずに後悔するのはもったいないですよ!」

 

 
やりたいことがあるなら、まずは最初の一歩を踏み出そう。それが確実に未来につながっていくのだ。