ファッション×ロボットで新分野を切り開く!きゅんくんって誰?

機械工学を学ぶ大学3年生の「きゅんくん」は、「ファッションとして着られるロボット」の制作に取り組むエンジニアだ。
 
ファッションとロボットというユニークな組み合せの斬新さで、国内だけでなく海外からも注目されている。
 
なぜ、きゅんくんはこのような “ロボティクスファッション” に取り組むようになったのか?そのはじまりは、「好きなことに打ち込んだ」という高校時代にあった!
 
 

好きなものの掛け合わせで生まれた「着るロボット」

 
きゅんくんは小学生の頃からロボットが好きで、「将来はロボットの開発をしたい!」という夢を抱いてきた。ロボットにもさまざまなタイプがあるが、きゅんくんが興味をもったのは、工場で部品の組み立てや箱詰めなどを行う産業用ロボットだ。
 
高校生になると、産業用ロボットの商談用の展示会にひとりで出掛けることもあったという。
 
異分野の組み合せで新しい分野を切り拓く!きゅんくんって誰?

画像:産業用ロボットイメージ

 
ただ、ロボットだけでなく、ファッション、絵、写真、本、インターネットなど、さまざまなものに興味津々だった彼女。そのため高校時代は、ロボットにつながる電子工作のほか、ギャラリー巡り、読書などに熱中していたという。
 
なかでも積極的に取り組んだのが服作りだった。ファッションコンクールに出品したくて、高校では被服部に入部。プライベートでも自分の服やアクセサリーを作ったり、校外の高校生ファッションチームの一員としてショーに参加したりしていた。
 
そこで好きなモチーフとして、機械や電子部品を取り入れて生まれたのが「ロボティクスファッション」だった。
 

画像:ロボット×ファッションをテーマとし、様々なブランドとのコラボも実現

 

「中学生の時から電子工作をしていたので、私にとって好きな電子パーツを身につけたいという素直な気持ちでした。最初は単なるアクセサリーとして電子パーツを使ったりもしていたのですが、本来機能を持って生まれたパーツが、その機能を果たさないのはパーツに申し訳ないのではと思いはじめ、光ったり、音がなったり、動いたりする服を作り始めました」

 
こんなふうにきゅんくんは、高校時代から好きという感情に対して、素直に動いてきたという。
 

大学&独自の活動でロボット開発の技術を磨く

 
高校卒業後は機械について学ぼうと、大学の工学部機械工学科に進学。今、大学の勉強と並行してロボティクスファッションの制作も行っている。彼女にとっては、どちらの目的も技術力を高めることにあるという。
 

「今の自分にとっての第一は、技術を高めることです。エンジニアとしてはまったくの未熟者なので、どんどん学んで吸収していきたいです。実際に手を動かして学びたいのですが、大学の講義では好き勝手にものを作るわけにはいかないので、自由になる時間をオリジナルロボット作りにあてています」

 
着るアームロボットや光るバレエ衣装など、これまでの3年間で7作品を制作。それらをTOKYO DESIGN WEEKの企画展やさまざまな展示会、イベントで発表している。
 
最近は海外からも声がかかるようになり、今年はアメリカ、中国、オーストリア、韓国のイベントに参加した。
 
異分野の組み合せで新しい分野を切り拓く!きゅんくんって誰?

画像:オーストリアで開催された国際的なメディアアートイベント「アルスエレクトロニカ」では授賞式に招かれた

 

「自分がおもしろいと思っているもので世界が変わったらいいなという気持ちもあります。現在開発されているウエアラブルデバイス(※1)は、機能が目的であることがほとんどですが、将来、ファッション性を目的としたウエアラブルデバイスが現れると思うんです。そんな未来のアイテムを、今、世の中に発表することで、ウエアラブルデバイスの普及に少しでも近づけたらうれしいです」

 

産業用ロボット開発者を目指して

 
将来の目標は、高校生の時からずっと変わらず、「産業ロボットの開発の仕事をすること」。そのために大学院に進学し、引き続きロボットについて学ぶ予定だ。
 

「現在、今後のロボットとしてコミュニケーションロボットなど、ソフトウエア(※2)がメインのロボットが期待されていますが、ハードウエア(※3)とソフトウエア両方の進化があってこそロボットが普及した未来が生まれるはず。私はハードウエアが好きなので、将来はハードウエア面でロボットの進化にかかわれたらと思います。ロボットの進化にかかわれるような技術を持った人になりたいです」

 

きゅんくんの進路選択は、「好き」という自分の気持ちが基準になっているようだ。
 

好きなことのために積極的に動こう!

 
最後に、きゅんくんから高校生のみんなに向けてメッセージをもらった。
 

「好きなことを納得いくまで続けたら、きっといつか自分のためになるはずです。それがどんなことでもいいので、積極的に広い世界に飛び込んでいってください。自分から動けば、新しいチャンスが見えてくるはず!」

 
異分野の組み合せで新しい分野を切り拓く!きゅんくんって誰?

画像:迷いなく突き進むきゅんくん

 
目指す姿に迷いなく突き進むきゅんくんの姿に、勇気づけられる高校生も多いのでは?
 
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※1 Apple Watchのような、体に身につけて利用する電子機器
※2 計算ソフトや文章ソフトなどのプログラムやプログラムの扱うデータのこと。この場合は会話ソフトなどを指す。
※3 ロボットを動かす駆動装置(アクチュエータ)やコンピュータの電子回路など、物理的実体をもつもの
きゅんくんをもっと知りたい方は Kyun_kun Web