【イベント】3.11を前に、高校生がつなぐ日本の“減災力”

東日本大震災からもうすぐ3年。みんなはあの時の教訓を忘れずに、災害への備えを続けているだろうか。

 

実は、災害時に役立つ商品づくりに取り組む企業や、災害時に役立つ知識の普及活動を行う団体など、一般にはあまり知られていないが地道に活動している企業・団体は多い。

 

そんな取り組み事例を集めてみんなで共有し、連携してより良い活動にしていこうと、3月7日(金)・8日(土)に「Post quake Innovation Forum」が東京都千代田区の日比谷図書文化館で開催された。

 

注目したいのは、このイベント開催の中心となったのが2人の女子高生ということだ。

 
 

■高校生が減災のためのイベントを主催

 

このイベントを主催したのは株式会社GLOPATH。2011年に3人の中学生が設立した、「子供たちによる子供たちのための未来を共創する企業」だ(参考記事)。CEO(最高経営責任者)で高校1年生の仁禮(にれい)彩香さんが実行委員長、COO(最高執行責任者)で同じく高校1年生の齊藤瑠夏(るか)さんが副委員長を務め、大人を含めたスタッフとともにイベントを企画・開催した。

 

仁禮さんは、イベントのオープニングにあたって会場の参加者にこう呼びかけた。

 

「自分なりに調べてみると、数え切れないほどのイノベーション(災害が起こった時に役立つ新しいアイデア)があることに気づきました。そんな日本中に散りばめられているアイデアを点とすると、その点と点を線で結び、大きな影響力をもつ輪を描いていく必要があると思います。その輪が一人から家族へ、仲間へ、社会へと広がっていけば、自分、家族、周りの人たちを守ることができるのではないでしょうか。まずはここから日本の減災力を私たちが高めていきましょう」(仁禮さん)

 
 

■小学生から大人までの幅広い実践を共有

 

イベント1日めは、企業やNPO、大学、学生団体などさまざまな立場で減災や復興に取り組んでいる実践者、約40団体200人が参加し、減災や復興の取り組み事例の共有が行われた。仁禮さんと齊藤さんは、それらの取り組み事例について事前に、可能な限り取り組み団体に出かけて実践者の話を聞いて勉強してきた。

 

【イベント】3.11を前に、高校生がつなぐ日本の“減災力”_01

 

2人から紹介されたのは、次の例のようにバラエティに富んだ事例だ(一部)。

 

・ハウスメーカー「大和ハウス」による繰り返す揺れにも強い家づくり
・ママたちによるママ支援活動を行う「Stand for mothers」による、被災地のママの体験やノウハウをまとめた『防災☆ママBOOK』
・岩手県陸前高田市の長洞地区仮設住宅「長洞元気村」の、行政任せにしないで自分たちの生活は自分たちで守ろうとする住民同士とのつながり
・10代による復興支援団体「Teen for 3.11」による次の災害に備える体制づくり
・湘南インターナショナルスクールによる、親子で減災について学ぶ「減災カフェ」の企画・運営
・BOSAI(防災)をもっとおしゃれにすることで浸透を目指す「防災ガール」が開発した防災グッズ「SABOI」 ※下写真:BOSAI TENUGUI(災害発生時の手引きが描かれた手ぬぐい)とGRANOLA BAR(非常食)

 

【イベント】3.11を前に、高校生がつなぐ日本の“減災力”_02

 

それぞれの事例について、会場にいる実践者本人の話も交えて知恵を共有。参加者全員で、共同体の再生、防災への備え、家族のあり方、住まいのあり方などについて議論した。

 

【イベント】3.11を前に、高校生がつなぐ日本の“減災力”_03

 

議論の成果は「日本発グローバルに展開する減災産業の振興」と題した政策提言書にまとめられ、会場にかけつけた古屋圭司内閣府特命担当大臣(防災)に渡された。今後、この提言を世界に向けて発信していくことも計画されている。

 

【イベント】3.11を前に、高校生がつなぐ日本の“減災力”_04

 

2日めは、参加した企業・団体の減災グッズ等の実演会や、今後の減災力を高める方法を考えるワークショップなどが行われた。

 
 

 

イベントのスローガンは「一つひとつの“おうち”から 高めよう 日本の減災力」。こんな大きなイベントでなくても、高校生一人ひとりが各家庭の減災力向上に一役かうことはできるはず。みんなも自分にできることを考えてみよう。