今まで「当たり前」だと思っていた行動が、実は「非常識」だったり、「マナー違反」だったりすることも…!
全国の高校の先生への突撃取材とアンケート取材からわかった、「困ったちゃん」たちを紹介するよ。
担当教科は数学。ずっと同校に勤務し、現在16年目。進路指導を担当して4年め。「本当にやりたいことはなんなのか。生徒たちとじっくり話すことを心がけています」
教師歴29年め。担当教科は社会。進路指導担当は9年め。自らも高校球児として活躍経験があり、同校でコーチとして甲子園経験も。「生徒第一。即時に対応」がモットーだ。
教師歴20年。生徒指導を9年、その後進路指導として8年め。担当教科は理科。「素質、特性、将来の希望など、生徒一人ひとりに合った進路指導」を実践している。
※本ページは2011年に取材した時点での情報に基づき作成しています。紹介している先生方の在籍校名や役職などは取材当時のものであり、
現在の情報と異なる場合があります。
「面接に向かう時点から気を抜かないのが原則。面接会場へ向かうエレベーターの中で友達と騒いでいたら、面接官に見られていた、ということもありえます。服装やカバンの持ち方など、会場外でも気をつけましょう」(工学院大学附属高等学校・奥津先生)
「AO入試の際、反対方向の電車に乗ってしまった生徒がいました。オープンキャンパスに行ったからと、安心したんでしょうか…。高校に電話がきたので高校から大学に連絡。遅刻したものの、受験はできました」(浦和学院高等学校・角道先生)
「願書提出締切日に書類一式を持ってきて、いきなり『出したい』と言った生徒がいます。あわてて調査票を用意したものの受験料が未納!銀行も閉まった15時すぎだったので、郵便局の本局で、なんとか提出させました」(県立T高等学校・E先生)
「調査書は厳封なのに生徒が開封してしまい、そのまま願書とともに送付。その後、大学から連絡があり、再度、厳封の調査書を再送しました。生徒には厳封書類は開封してはならない旨、指導しました」(東京都立O高等学校・M先生)
「普段スカートを折り曲げて短くしている生徒に、きちんとするように指導すると、『(スカートが長いのは)みっともない!』と抵抗されました。社会ではそれが常識であることを理解させるのに苦労しました」(東京都立H高等学校・K先生)
「AO入試の面接後、大学から内密に連絡がきました。緊張のせいかひと言もしゃべれなかったそうなんです。『受験拒否かもしれない』と思われたそうで、残念な結果になりました。早い段階からの自己改革が大切です」(小松原高等学校・大場先生)
「大学に連絡をして、黒ボールペンで清書したものを再送付させてもらいました」(東京都立O高等学校・M先生)
「ほかにもセンター試験受験票から切り離した成績請求票を紛失した、というケースも…」(S県立I高等学校・T先生)
「出願直前に願書を持ってきて、『今日中に書類を書いてほしい』と言ってきた生徒が…。余裕をもって書類を取り寄せるよう指導しました」(普連土学園高等学校・福井美津子先生)
「願書を普通郵便としてポストに投函し、送り返された生徒がいます。書留や速達書留で送付するのが大原則!」(M大学N高等学校・I先生)
「何週間もかけて考えて、やっと用紙に書けるようになったのに、字数を考えず、なおかつ下書きもせず、いきなりペン書き。半分書いたところで気づいて、もう一度国語の先生に残りの分を訂正していただいて、何とか字数を合わせることができました」(B県立S高等学校・T先生)
「封筒の宛先が『行』のままで、『御中』になっていない。御中に直すことを知らないんですね。『行』を二重線で消して、『御中』と書くよう教えました」(埼玉県立岩槻商業高等学校・小境幸子先生)
「個人面接の模擬面接をしていた際、廊下で待機させていた生徒が平気でおしゃべりをしていました。『面接試験では待機中の様子も見られている』と伝えました」(京華商業高等学校・曽根和志先生)
「面接練習中にいたのが、次第に膝が開いてしまう女子。初めは気をつけていても、受け答えに気がいってしまうと、膝が開いてしまうんです。その都度注意をする、あわてて膝を閉じる、の繰り返しでした」(埼玉県立岩槻商業高等学校・小境幸子先生)
「基本的なマナーが身についていない生徒もいます。こういう場合、模擬面接を繰り返して、正しい方法を身につけさせるしかないですね」(東京都立向丘高等学校・松井吉昭先生)
「普段あまり気にしていないマナーや敬語を気にするあまり、ぎこちない動作でしか動けない子がいました。これは練習あるのみ。普段から意識するのが大切ですね」(K県立A高等学校・T先生)
「出願書類を早めに準備するのは鉄則ですが、コピーを取り忘れている生徒が意外といますね。頑張って書き上げて、発送したらホッとしてしまう。でも、面接の際に書類の内容に関して質問が来たり、誤字のフォローもコピーなしだと難しいですよね。だから発送する前の時点で、必ず進路担当の先生にチェックしてもらう、というのが大切です。先生のチェックが入れば、こうした書類上のミスはなくなるんですから」(工学院大学附属高等学校・奥津先生)
「模擬面接をやっていると、『合格したい』『絶対に入学したい』という気持ちがどれだけ本気なのか、すぐにわかります。足を引きずるように歩いたり、きちんとした礼ができなかったり…。本気になっていないと、形に出てきてしまう。でも、本気モードになると違う。まず『進学の目』になる。そうすればおのずと、振る舞いや服装も『合格するためには、こうしなければ』と改善される。まず本気になること、が大事です」(浦和学院高等学校・角道先生)
「面接でよく聞かれる『長所と短所』。短所は言えるけれど、長所は言えない、という生徒がとても多いですね。せっかくの自己PRのチャンスなのに、もったいない。だから事前に自分の長所を探しておくことが必要です。例えば部活動、ボランティア、学校行事など、何か真剣に取り組んだ経験があれば、それをアピール。それらがない場合には必ず、自分を振り返って考えておく。自信をもって長所をアピールしてほしいですね」(小松原高等学校・大場先生)
構成/平林朋子 取材・文/夏井坂聡子 デザイン/アトリエあふろ イラスト/古海幸子