芝浦工業大学
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技術Technology031
2018.08.30

人間がモノを通して感じる
「美しさ」や「心地よさ」とは

デザイン力と工学技術で目指す、
感性に届けるモノづくり。

現在、モノのデザインに対する人々の好みは、インターネットやSNSの普及によって急速な変化を遂げています。そのため、あらゆるモノづくりの現場では、デザインセンスやインスピレーションだけでなく、その時代の変化をキャッチしつづける技術力を持った人材が必要とされています。

芝浦工業大学では、工学とデザインを組み合わせたデザイン工学部を設立し、変化の著しい高度技術社会にフィットする人材を育成に取り組んでいます。

エモーショナルデザイン研究室では、人間がモノを通して感じる「美しさ」や「心地よさ」について、なぜそのように思うのかという理由を工学的メソッドで解明し、そこで得たエビデンスをデザインに落とし込むことにより、モノの価値や魅力を高める研究を行っています。

時間をかけたリサーチによって生まれる、みんなに愛されるデザイン。

具体的な取り組みのひとつに「若者が好むビールと焼酎瓶の形状とラベル」についての研究があります。これは、昨今の若者のお酒離れを解消すべく、TwitterやInstagramなどにあげたくなるような “SNS映え” する酒瓶をデザインしようという試みです。この研究では、ありとあらゆる形の瓶を集めてシルエット化し、形状の特徴によってそれぞれをカテゴライズします。20代の男女にそれらの中から好きなデザインを選んでもらい、好感度を数値化。そこから人気の高かった要素を抽出し、瓶やラベルのデザインに盛り込むというものです。

この研究室を仕切る橋田規子教授は「ここでは、一般的なデザインとは違い、モノを形づくるまでの間に準備や調査をじっくり行います。時間をかけてさまざまな角度から分析することは、大学だからこそできる研究。仕事としてデザインをする際は、そんなに多くの時間を割くことができないので、しっかりここで経験値をつけて将来に役立ててくれるといいですね」と、ここでの経験が現場力の糧になると語ります。

近年、大手メーカー企業のデザイン部署では、リサーチ技術の高い人材の中からデザイナーを探すところも少なくないそうです。「デザイナーだけでなく、企画や商品開発、有名デパートのバイヤーとして声がかかる学生もいます。やはり今の時代は、人々に好まれる製品をどのようにリサーチして割り出していったらいいのか、そのノウハウを語れる人材はとても重宝されるんです」。

探究心とコミュニケーション能力が、エモーショナルデザインの鍵。

この研究室に在籍する学生の大半は「デザインってかっこいいな」という興味から、研究をスタートする人が多いそうです。「美術大学の学生のように高校生の頃からデッサンや色彩構成を学んできたという子はほとんどいません。ここではデザインに関する探究心が強く、コミュニケーション能力のある子なら十分に可能性のある場所。臆することなくぜひチャレンジしてほしいですね」

学生インタビュー:
産学連携が学ぶことへのいい刺激に。

エモーショナルデザイン研究室に在籍する大久保優希さん。

もともと工作好きの理系青年だった大久保さんは、橋田教授の記事を目にし「人の手にとってもらえるものをデザインしてみたい」という興味から研究室へ入りました。大学卒業後はキッチンメーカーへ就職し設計になどに携わるも、プロダクトデザイナーになりたいという思いを諦めきれず、会社を退職。再度この研究室へ入室しました。

現在は、甘味・酸味・塩味・苦味に対する印象を立体グラフ化することで、味覚のイメージ傾向を読み解く「味覚の視覚イメージ研究」に取り組んでいます。

「この研究室は産学連携の活動に積極的なため、企業の方たちと知り合う機会が多いことです。一緒に展示会を企画することができたり、デザイナーとも知りあえたことで、学ぶことやスキルアップへの刺激にも繋がりました。今やっている研究もメーカーと協力して取り組んでいるので、今後はパッケージや食品の形などに役立てていけるといいなと思ってます」

デザイン工学部/デザイン工学科/生産・プロダクトデザイン系/エモーショナルデザイン研究室
橋田 規子 教授
エモーショナル(感性)に訴える要素はさまざまなものがあります。これらを解明することで、より魅力的な「もの、こと」の提案手法を構築します。魅力的な「もの、こと」づくりは持続性社会に貢献します。