2016/03/24
「女らしくしなさい」「男らしくないわね」。よく耳にするフレーズですが、実は男女の「らしさ」は、時代と共に変化しているんです。今回は、社会的・文化的に性別を考えるジェンダーの視点から、文学を読み解く楽しさをご紹介しましょう。
私たちの生きる現代は、女性も好きな職業を選び、自立して生きられる時代。でもわずか数十年前までは、女性は家を守り、家族に尽くすものとされていました。いつから、どんな風に変化したのか。外国ではどうだったのか。文学は、時代や国ごとの社会を体感できる身近なツールなのです。
たとえば19世紀の英文学には、当時の社会規範である「男は外で働き、女は家庭を守る」という男女の役割が色濃く描かれています。中には、主人公が女性教師になる画期的な成長物語もありますが、やはり最後は住み込んだ家の主人と結ばれてハッピーエンド、となるのです。
現代なら、教師になったところでハッピーエンドもアリですよね。でも当時の社会には、まだまだそうした生き方を受け入れる社会的土壌が築かれていなかったのでしょう。
こんな風に、時代や国ごとの背景や社会的制約によって変化する女性性や男性性、あるいは性差別、人種差別など「ジェンダーの表象」に注目すると、作品にはもう1つの物語が生まれます。そこには、現代社会のあり方や自分らしい生き方を見つめ直すヒントがたくさん詰まっているのです。