2016/06/02
私たちみんなの頭の中にあり、感情や行動を司る脳。心理学、認知神経科学の進歩により、我々の行動の仕組みが少しずつ解明されつつあります。今回は、謎に満ちた脳と行動の関係について覗いてみましょう。
我々の行動の源になるのが動機づけ(やる気)です。ゴールを決めてやる、合格したい、ヒーローになりたいと思って、やる気が出る場合と、逆に点をとられたくない、不合格になりたくないと思って、やる気が出る場合があります。心理学では、前者を接近動機づけ、後者を回避動機づけと呼びます。
脳は左右にわかれており、左脳→右側/右空間、右脳→左側/左空間を制御しています。同時に働きも左右で異なっています。2つのやる気については、接近動機づけは左脳が、回避動機づけは右脳が主に担当しています。これを確認できる証拠が、サッカーのゴールキーパーの行動(左右への飛ぶ方向)に隠されています。
至近距離からのキックをキーパーがストップするのは至難の業です。しかしこれを止められればヒーロー間違いなし。さてどちらにキーパーは飛ぶのでしょうか?過去のワールドカップの記録を調べた心理学者は、チームが負けているとき「右側」にとぶ確率が特に多いことを確認しました。つまり、ヒーローになりたい「左脳」が強く働いたのです。
今回紹介したやる気をはじめ、ヒトの記憶、注意、思考など、日頃使っているさまざまな行動の仕組みを実験や観察を使って探るのが「認知心理学」。脳の不思議やヒトの行動に興味のある人は、是非一度チェックしてみては?