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岐阜県立恵那高校

2000年5月号(第2号)
94ページ

●教科の時間を利用して全学年で実施する「現代」「沖縄」「生き方・我が道」

  • 授業改革の研究がきっかけに
  • 名大附属高校の“衝撃”
  • クロスカリキュラムの難しさ
  • 教育研修部や小委員会が推進
  • 「総合学習だより」を作成

●総合学習


●教科の時間を利用して全学年で実施する「現代」「沖縄」「生き方・我が道」

授業改革の研究がきっかけに

岐阜県の東南部、中山道の宿場町(大井宿)として栄えた恵那市にある岐阜県立恵那高校は、旧制中学校から数えて今年で創立78周年の伝統校。地方の進学校として、地元からの期待も高い。
しかし、中学校で「新学力観」の授業を受けて入学してきた生徒への戸惑いは、恵那高校の先生方にとっても例外ではなかった。生徒はそれまで、必ずしも座学にとらわれない学習に慣れ親しんできたため、依然として知識注入型のままの高校の授業に「生理的な拒否反応を示していた」(教育研修部・前川泰信先生)という。
そんな折に、平成8年度から3年間、県教委の「活力ある学校づくり推進事業」の指定を受けることが決まった。生徒の変化に対応した授業改革の必要性を痛感していたことから、主題を「生徒が生き生きとして在る授業づくり――生徒の自立(生きる力)に資する教科指導の在り方の工夫」と設定。この研究が、後の「総合学習」に発展するきっかけとなった。

名大附属高校の“衝撃”

もう一つの動機は、環境教育の先行例を学ぼうと、9年度に入ってから訪れた名古屋大学附属高校の“衝撃”だ。
名大附属が実践していたのは、脱教科、脱教室、脱偏差値を掲げた「総合人間科」(各学年1単位)という独自教科。環境はもとより、生命、平和、人権といった現代的課題について生徒がテーマを設定し、フィールドワークによって学んでいく。3年生は進路別にゼミを構成し、パネルディスカッションで堂々と発表を行っていた。「これが同じ高校生とは思えませんでした。それで環境教育は吹っ飛んでしまいました」と、教育研修部長の西尾克明先生(現・東濃高校教諭)は笑う。
この視察で、「生徒の興味・関心を出発点に置く、教科の枠を超えた学習の形態」という「総合学習」のイメージが固まった。

■恵那高校の「総合学習」(平成11年度)

授業名
「総合学習」
創設時期
平 成 10 年 度
対象学年
1年生
2年生
3年生
実施時間
不定期(2週間に1時間程度)
時間数
17時間
16時間
13時間
内容 「現代」
環境問題、情報化、福祉、科学技術と人間、国際化など自分の興味のあるテーマを設定
「沖縄」
修学旅行と連動してテーマを設定
「生き方・我が道」
進路に応じたテーマを設定
指導者
各クラスの正・副担任(7クラス×2=14人)
学習集団
学年単位のゼミ
学級単位のゼミ
学年単位のゼミ
総合学習
タイプ分類
教科横断・総合型、課題研究型
在り方生き方・進路学習型

クロスカリキュラムの難しさ

しかし「総合学習」が現在の形に落ち着くまでは、曲折があった。
名大附属視察後の9月、手初めに1年生で「環境」をテーマにしたクロスカリキュラムを企画。関連教科により7時間計画で実施してみた。
しかし年度途中ということもあって、教科間の連携は不十分だった。また、あくまで教科の時間内でばらばらに行ったため生徒が関連性をとらえ切れず、反応も今一つだったという。
10年度はそうした反省を踏まえ、進路指導部に配当されていたLHRのうち6時間分を充てた。5月から11月にかけて、1年生で「環境」、2年生で「沖縄」、3年生で「生き方・我が道」という、現在の原型となるテーマを試行。生徒が学校外に出ていって生き生きと調べ学習を行うなど、成果がみられ始めた。
「クロスカリキュラムは難しいですよ。まず、教員の意識を統一するのが困難です。生徒にとっても、あくまで教科学習で終わってしまい、知識が『生活化』しないんです」
西尾先生はこう反省する。

教育研修部や小委員会が推進

11年度の「総合学習」は、各教科・科目の時間を平等に1〜2時間ずつ出しあい、年間20時間弱を確保した。週時程には固定せず、おおむね2週間に1回、1時間ずつの授業ができるような時間割を展開していった。「来週金曜日の2時間目を『総合学習』に振り替えます」といった具合だ。
こうした「総合学習」のかじ取りを担っているのが「教育研修部」だ。
もともと研究指定の過程で設けられ、担当者のほとんどは他の分掌と兼任だったが、本格実施に合わせて名実ともに独立した組織となった。教科の時間を削ることに対しては、当然反発があった。
そんななかで、「総合学習」の立ち上げに力を発揮したのが「総合学習に関する小委員会」だ。各教科の代表を集めたもので、ここで恵那高校のあるべき学習は何か、という本質的な論議が深まったという。各教科の同意が得られたのは、この委員会の力が大きかった。
もう一つの説得材料が「小論文対策」だ。自分で課題を発見・解決し、レポートにまとめることで、表現力が育成される。進路指導部から「小論文指導を行えないか」と提案があったのも、追い風となった。

「総合学習だより」を作成

「総合学習」は教科と違い、教師にとって未経験の授業であり、全員が統一した指導を行うには困難が伴う。その助けとなったのが、教育研修部が発行する「総合学習だより」だ。「たより」には学習のねらいや展開案はもとより、生徒にどんな指示を行うかが、こと細かに示されている。これを参考に、各担当者が生徒の実態に合わせて、授業展開を工夫する。さらに、各ゼミや学年でどれだけ活動が進んでいるかを伝える媒体ともなった。年間の発行枚数はB4のワラ半紙にして200枚に達した。
「クロスカリキュラムや『総合学習』にしても、強引に踏み切った感があります。でも、それも教師の授業観、生徒観を見直すことが主眼だったのです」。西尾先生は力を込めて、こう続ける。
「高校教育の最大の課題は、青年の自立を支援することだと思うんです。これからの教師は一方的に指導するのではなく、生徒を援助する立場に回らなくてはならないのではないでしょうか」

■「総合学習」平成11年度の授業展開

岐阜県の東南部、中山道の宿場町(大井宿)として栄えた恵那市にある岐阜県立恵那高校は、旧制中学校から数えて今年で創立78周年の伝統校。地方の進学校として、地元からの期待も高い。
しかし、中学校で「新学力観」の授業を受けて入学してきた生徒への戸惑いは、恵那高校の先生方にとっても例外ではなかった。生徒はそれまで、必ずしも座学にとらわれない学習に慣れ親しんできたため、依然として知識注入型のままの高校の授業に「生理的な拒否反応を示していた」(教育研修部・前川泰信先生)という。
そんな折に、平成8年度から3年間、県教委の「活力ある学校づくり推進事業」の指定を受けることが決まった。生徒の変化に対応した授業改革の必要性を痛感していたことから、主題を「生徒が生き生きとして在る授業づくり――生徒の自立(生きる力)に資する教科指導の在り方の工夫」と設定。この研究が、後の「総合学習」に発展するきっかけとなった。

学習の成立過程を自ら体験し、思考の楽しさを実感させる。
教科の学習への動機付けとなり、本来恵那高校生が持っているはずの自ら生き生きと学習する力強さを回復する。
解決のない問題に対して取り組むという頭の使い方を鍛練し、自己の存在をトータルに実感する。
社会に目を向け、自分と社会とのかかわりを実感し、責任ある行動がとれる。
 
期間
 項目・指導内容
4月
第1回
興味の掘り起こし
(2年生はグループごとにテーマ話し合い)
第2回
興味の絞り込み・ガイダンス
(2年生はテーマ決定と探究の開始)
5月
第3回
追求したいテーマの決定
第4回までにゼミ分け、教員担当者割り振り
第4回
集団づくり(各ゼミ)
6月
第5回
話し合い、または資料調査
第6回
話し合い、または資料調査
(2年生は沖縄修学旅行で現地調査)
7月
第7回
話し合い、または資料調査
9月
第8回
話し合い、または資料調査
(3年生はまとめの完成)
第9回
まとめの完成
10月
第10回
ゼミ別発表会(2時間)
学年発表会(2時間)
実施の順番 2年生→3年生→1年生
(2年生は3年生の、1年生は2年生の学年発表会を見学)
11月
第11回
1、2年生 学年発表会
学習の反省と自己評価

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