進路指導・キャリア教育を推進する  
 
 キャリアガイダンス.net  
 PRODUCED BY RECRUIT  
 
 
HOME
 

 
 
 
 
 
 
キャリア教育事例TOP総合的な学習の時間の事例記事  

北海道・私立小樽明峰高校

2000年6月号(第3号)
62ページ

● 1年を通して本格的なインターンシップを行う「社会体験学習」

  • 親、社会、地域を知るために
  • 仕事の“季節”を実感
  • 「社会体験学習」年間計画
  • 145もの事業所を開拓

● 社会体験学習


●1年を通して本格的なインターンシップを行う「社会体験学習」

親、社会、地域を知るために

札幌市から電車で約50分という通勤・通学圏にある小樽市は、古くから北海道経済の中心として栄えた歴史と伝統ある街。小樽明峰高校の前身である小樽昭和高校は、そんな小樽の私立女子校として市内はもとより札幌市からも生徒を集めてきた。
生徒減少に対応するため、男女共学化と校名変更に踏み切ったのは平成7年度。連日のように会議を開いて新しいカリキュラムを検討する中で、生徒の状況や、社会が求める高校生像についても、徹底的に討論したという。そこで出てきたのは「高校を卒業して就職しても、電話一つ取れない」という、生徒の圧倒的な体験不足に対する反省だった。
折しも北海道は他地域にも増して深刻な不況下にあり、中小企業の多い小樽も大変な状況にある。子どもを私学に通わせる保護者の苦労は並大抵ではないはずだが、生徒は親が勤めている会社ぐらいは知っていても、具体的な部署名や、どんな仕事をしているのかはほとんど理解していない。
そこで、大人が真面目に働いている現場を実際に体験させることで、現実の社会を認識させようと同年度に創設したのが「社会体験学習」という新科目だった。
また、札幌から通う生徒はもとより、地元出身者でも意外なほど小樽のことを知らない。地域の人からいろいろな話をしてもらうことで、小樽という街を知ってもらおうという願いも込められている。
「私たちは今まで、学校の中だけで教育をしようとしてきました。それが間違いではないか、と考えたのです。真摯に生きている大人は自分たちの将来の姿なんだよ、ということを、どこかで感じ取ってほしいんです」
今も自ら生徒を引率して校外授業を行っている田村校長は、こう願いを込める。

■小樽明峰高校の「総合学習」

授業名
「社会体験学習」
 創設時期
平成7年度
平成8年度
 対象学年
1年生(必修)
2年生(選択)
 実施時間
通年、金曜日5・6限目
隔週木曜日5・6限目
 単位数
4単位
2単位
 内 容  市内の企業や福祉施設で1年間を通した勤労体験を
 行い、働くとはどういうことかを実感するとともに、
 地域の伝統文化に触れる。
 指導者
9人(1年生のHR担任が中心)
 学習集団
1事業所につき1〜2人
 総合学習
 タイプ別分類
在り方生き方型

仕事の“季節”を実感

小樽明峰高校の「社会体験学習」の大きな特徴は、1年間を通した勤労体験にある。通年で単位認定も行う本格的なインターンシップは、普通科高校では全国的にも珍しい。これは、「社会体験学習」を提案した当時の舘山富一校長が「どうせやるなら2、3週間では駄目だ」と主張したことに基づく。
現在の体験時間は週1回、午後に限定しているが、受け入れ企業の側には「仕事の内容や流れを理解してもらうなら、4週間をまとめて行うなど期間を集中して、朝から晩までの1日を体験させた方がいい」という意見もある。しかし、1年を通した体験にこだわるのは、“季節感”を大切にしたいからだ。
ガソリンスタンドを例に取れば、冬の寒さが厳しい時にも外に立たなければならない。また忙しさには時期的な偏りもあるが、暇そうに見える時でも、普段はできないところの掃除などやることはたくさんある。通年の体験学習では、そうした仕事の現実をまるごと体験することを狙っている。

■「社会体験学習」年間計画

(1)
(2)
(3)
(4)
(5)

時期
項目・指導内容
4月 

 第1回

全体オリエンテーション、各業種説明会、各業種説明会(続き)、体験先希望提出

 第2回

希望者を集めての説明会


 第3回


体験先での顔合わせ、説明

5月 
 前期社会体験学習開始
9月 

 前期レポート提出 / 前期反省会(教員と受け入れ事業所)

10月 
 後期社会体験学習開始(一部生徒は体験先変更)
 「教育の夕べ」の中で1年生代表が市民にも発表
2月 
 後期レポート提出 / 後期反省会(教員と受け入れ事業所)

145もの事業所を開拓

もう一つの大きな特徴は、受け入れ先の事業所の多さだ。
平成11年度の場合、受け入れ先として確保した事業所は、21業種145事業所にも及んだ。小樽市内が中心だが、札幌市などの近郊もある。これだけの数を確保できたのも、先生たちが一件一件を開拓して回るという6年間の地道な努力の結果だ。
各事業所に受け入れてもらう人数は、できるだけ少人数にしている。受け入れ先の多くが中小企業や小店舗ということを配慮したものだが、一人ひとりにじっくり指導をしてほしいという意図もある。
実施に当たっては、担当の先生が協力依頼の文書を持って各事業所を訪問する。その際には、万一の事故に備えて生徒が保険に加入していることの説明も忘れない。こうして培った信頼関係があってこそ、長期にわたる体験学習が可能になる、といえそうだ。
事業所との深い関係なしには成り立たない授業だが、実際の就職に結び付けることは意識的に避けているという。就職希望の生徒がやむなく専門学校に進路変更するケースが増えているほど厳しい状況にあっても、「あくまで授業ですから」と、三戸広志教頭先生は話す。

■受け入れ先の業種と定員(平成11年)

担当
業種
事業所数
定員(計)
A先生 印刷・写真
2
3
  建設
1
1
  見学レジャー施設
1
2
  食品製造
6
8
  製造・手職
7
11
       
B先生 飲食
19
24
  販売
1
1
       
C先生 ガソリンスタンド
3
6
  ホテル・レストラン
3
4
  レンタル・クリーニング
3
6
  環境・リサイクル
2
7
  自転車・バイク
4
6
  食品製造
1
  倉庫
1
2
  理美容・トリム
5
5
     
D先生 スーパー 29 31
  自動車整備 1 10
       
E先生 芸能 1 10
  手話講習 1 10
  農業 1 4
  美術 2 14
  保育 13 13※
       
F先生 フラワーショップ 3 3
  看護 1 1
  知的障害者施設 4 11
  老人ホーム 4 16
       
G先生 販売 25 29
  美術 1 1

※不定を含む


平成11年度の体験先と受け入れ可能な生徒数の一覧(担当する先生別)。スーパーや寿司屋、ホテル、老人ホームなどが並ぶ。職場体験ではないが、手話やダンスの講座もある。人気なのは女子が保育所とフラワーショップ、男子はバイクショップと、意外にも廃品回収業(リサイクル)だという。

  ↑このページのTOPに戻る 次ページへ→

総合的な学習の時間の事例記事一覧に戻る
 
 
 
RECRUIT