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キャリア教育事例TOP総合的な学習の時間の事例記事  

奈良県立大宇陀高校

2001年6月号(第3号)
36ページ

●「喜んでもらいたいという願いを形にしたくなった!」異年齢交流を柱とした「総合学習」

  • 人として社会で生きる力=豊かな"心"のはず
  • "単なる体験"で終わらせない感性を育てるプログラム
  • 多世代との交流の機会を5つの場面で設定

●キャリア・プランニング (事前学習)

●キャリア・プランニング (体験学習)

●総括


●「喜んでもらいたいという願いを形にしたくなった!」  異年齢交流を柱とした「総合学習」

人として社会で生きる力=豊かな“心”のはず

人は人によって磨かれ、そして人の間で成長していく―。
奈良県立大宇陀高校の「総合的な学習の時間」の試みは、まさにそんな“当たり前”のことの“気づき”からスタートしている。
同校は、昭和58年頃からゆとりの時間を活用し、キャリアプランニング(CP)という名称で週1時間、社会参加活動を行ってきた。これを「総合的な学習の時間」に発展できないかという県教育委員会のすすめもあり、一昨年度から、研究開発の取り組みを開始した。
「最初は何から手をつけていいのかまったくわからなかった。しかし文部科学省から与えられた(1)生きる力を学校ごとにとらえ直すこと(2)学習への興味・関心の土台となる「学力」について自分の学校でどうとらえるかを明確にすること(3)10年先の教育の創造という見通しを持って取り組むこと、といった3ポイントをヒントに大宇陀高校として何をしたらいいのかを考えていきました」と、教務部長の米川忠臣先生。
そして、この視点をもとに同校では「地域から通っている生徒が約6割という地域性の高さを最大限に生かし、心を豊かに育てる教育を実現しよう」と考え、多世代交流を「総合学習」に全面的に取り込むことに。
「17歳の事件が相次ぎ、世の中がどうも殺伐としてきていた。そんな中、近所のおじさん、おばさんと気軽に話せたり、小さな子どもたちとも仲良くしたり、親以外の、親世代と交流を図る機会を体験することで、地域社会でも豊かに生きていける“心”を育てることができるのではないか、と思ったわけです」
幸いにも同校は、大正12年、地元の人々の熱意によって県立4番目の旧制中学として創設されて以来、今も在校生の6割が地元出身という地域性の高い高校だ。「卒業生も地元で多く活躍しているため、今回の総合的な学習の取り組みにも大きな支援を得られるという環境にあった」と語るのは教頭古川禎俊先生。
「今の高校生に必要なのは“生きる力”。特にさまざまな世代と交流することで、“人とつながる力”が身につくはず。地域に励まされながら、多世代交流を中心とした、総合学習を実施することになったのです」

“単なる体験”で終わらせない感性を育てるプログラム

同校の「総合学習」の大きな特色は、地域の多世代との交流を体験する「キャリア・プランニング(CP)」を中心に進めながら、同時に教科横断型の学習を行う「アクセス・プランニング(AP)」といったプログラムを実施している点にある。この理由について、教務部長の米川先生は次のように語る。
「CPで多世代と交流し、生徒たちは自分もさまざまな人々とつながることができるのだということに気づく。それについて感動する。感動すると、生徒たちは“願い”を持つようになるんです。次はこうしたい、あの人にこんなことをしてあげたいといったような“高校生らしい”願いを持つわけです。でも、そこで得た感性を具体的に表現できるようになるためには、知性の支えが必要になる。そこで、APを導入し、“考える力”“問題解決能力”を養おうと。そしてAPとCPの両方で培った力を結合させることで“形創る力”もまた養われるのではないかと考えたのです」
CPによる体験学習だけでは「ああ、よかった、楽しかった」という単なる“体験”に終始してしまう。それは小中学で体験すればいいことなのだ、と教頭の古川先生は言う。
「感性は知性がないとしっかり育たない。体験活動を“学習”へとつなげていくことが、高校生にとって意義あることだととらえています。だからこそ、教科を学ぶことで培った力を、体験学習で培った“生きる力”(CPで得た力)にアクセスしていく、という意味でアクセスプランニングと校長が名づけたのです」(米川先生)。
同校では「感性とは、対象に対する主体的で肯定的な感情の感受性である」と自ら定義している。ここで表現しているところの“感性”を育てるためのプログラムこそがCP&APを柱とした、同校の「総合学習」なのだ。

■奈良県立大宇陀高校の「総合的な学習」の概念構造

多世代との交流の機会を5つの場面で設定

同校の「総合学習」の年間計画は、すべて学年主任が中心となって、学年単位で内容を具体的に決定。同一学年の生徒全員が、同一プログラムで活動する。他学年の教師が応援する場合も多い。
「総合学習」の時間はCPが全学年で週1時間、APは1、2学年で週2時間。合計、3年間で7単位。
CPでは、1年次に地域見学、老人ホーム訪問、磨き丸太(地域産業での作業体験)、2年次に高齢者とのゲートボール交流、幼稚園訪問、人権平和学習、3年次に校庭に作ったコスモス迷路に招待して行うすべての世代との交流、卒業スピーチといった内容が現在のところ盛り込まれている。これらを『体験の場』『気づく場』『意欲する場』『高まる場』『創造する場』の5つの場の学習課程に近づくように設定されている。

■「総合的な学習の時間」各学年別テーマ一覧

「厳密なステップ化は難しいけれど段階を追う形でさまざまな“場”を体験し、学習していくことで、生徒一人ひとりの心の中に“人として生きる力”が培われていけば」と米川先生。ちなみにAPの開講単元講座では、チームティーチングで生徒が学期ごとに単元を選択登録し、年間3単元を履修するシステムになっている。

■アクセスプランニング(AP)の開講単元講座

生活科学
生活数学
情報 CG・インターネット
国際理解 絵本翻訳
読み聞かせ・朗読
環境 リサイクル
大宇陀学 万葉・地誌

■「総合的な学習の時間」の年間指導計画


■「総合的な学習の時間」の年間指導計画

オリエンテーション
ゲートボール練習
グループ課題設定
個人課題の発見→調査

■「総合的な学習の時間」の年間指導計画


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