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心理カウンセラーの歴史を知ろう

心理カウンセラーの歴史を知ろう

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心理カウンセラーは20世紀の初頭にアメリカから始まったといわれています。また、日本では1950年代から産業カウンセリングがおこなわれてきました。経済成長に伴いさまざまなメンタルケアが必要とされましたが、近年は被災した人の心のケアも重要視され、心理カウンセラーの需要が高まっています。

カウンセリングの流れは、大きく3種類に分かれる

カウンセリングの流れは大きく分けて3つだといわれています。
まず、1つ目はオーストリアのジークムント・フロイトを創始者とする精神分析です。ドイツで発展し、その後アメリカで広まりました。精神分析による催眠療法などが挙げられます。
2つ目は行動主義といわれるもので、起源となるのは“パブロフの犬”で知られる、イワン・パブロフです。現在、カウンセリングにおいて注目されている認知行動療法はこの流れを汲んでいます。
3つ目に登場するのが、カール・ロジャーズによる人間中心学です。1940年代に確立した来談者中心療法は、指示や指導を与えずに自発的に行動できるように促す、というものでした。答えは本人のなかにあり、それに気づくかどうかがポイントとなります。

第二次世界大戦後、軍人の社会復帰に活躍したのが心理カウンセラー

そもそも、カウンセリングが始まったのはアメリカで、20世紀のはじめごろでした。当時のアメリカは経済発展による工業化が進んでいて、就職する高校生の適性に合わせて職業指導をおこなったことがカウンセリングの始まりです。その後、カウンセリングは心理療法をおこなう資格がある精神科医に限定されましたが、患者に対して一方的な指示がされるだけでした。そこへロジャーズの来談者中心療法が登場し、新しいカウンセリングの時代を迎えます。
やがて第二次世界大戦が終結し、軍人の神経症の緩和や社会復帰に対して活躍したのが心理カウンセラーでした。この時点で、心理カウンセラーは社会的に認知度が高まり、活動範囲が広がっていくとともに、さらに多くの療法が研究されていったのです。

日本での産業カウンセラーの登場は、就職する学生の心を支えるため

日本でカウンセリングが始まったのはいくつかの中学・高校にアメリカの教育制度を取り入れた1951年だと言われていますが、なかには、NTTの電話交換手から始まったという説もあります。電話交換手として仕事をする大勢の女性職員の間でトラブルが絶えず、その解決・防止のためにカウンセリングがおこなわれたようです。
産業カウンセラーが登場するのは1960年です。親元を離れて集団で就職する学生たちを心の面から支えようと、ある大手の企業が福利厚生の一環としてカウンセリングを導入したのがはじまりだといわれています。日本産業カウンセラー協会は1960年に創立され、労働省(当時)に社団法人として1970年に認可されました。現在では、50年を超える歴史と実績がある産業カウンセラーを代表する協会です。

ますます必要とされる職業に

近年、ブラック企業やセクハラ、学校でのいじめなど、社会的にも問題を抱える人は多くなり、震災などで被災した人々に対する心のケアの重要性が注目されています。AIなどによるIT化が進む一方、人との対面コミュニケーションも減ってきています。人は一人では生きていけません。心理カウンセラーは今後ますます必要とされる仕事だといえるでしょう。

取材協力

大野萌子

一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ(R)資格認定機関)代表理事、企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント、ハラスメントの分野を得意とする。防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関等で年間100件以上の講演・研修を行う。著書、メディア出演多数。

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