キャリアガイダンスVol.402 別冊
3/7

3Vol.402 別冊付録女性研究者数研究者に占める女性の割合(万人)(%)知りたい基礎研究応用研究役に立ちたいThat Mattersボーア(知りたい)パスツール(役に立ち、かつ普遍的な知見となる)エジソン(役に立つものを開発したい)Researchでは、リサーチャー(研究者)、エンジニア(技術者)の仕事内容に明確な区分はありません。業種や企業にもよりますが、両者をはっきりと分けられないケースは今後も増えていくでしょう」 また、同じ研究職でも、大学・研究機関と企業とで違いはある。両者の割合を見ると企業の研究職のほうが割合としては大きいが(図4)、それぞれどのような特色があるのか。 研究には、未知の原理や物質の性質などを明らかにする基礎研究と、基礎研究で発見された原理などを実用につなげていく応用研究とがある。大学・研究機関は主に基礎研究に、企業は主に応用研究に取り組んでいる。また、前者は論文執筆が主要な仕事だが、後者が論文を書くケースはあまり多くはない。これもあくまで原則的な区分ではあるが、丸山教授は大学や研究機関でなければできない研究があるという。 「例えば、宇宙が誕生したしくみの研究など、何の役に立つかは分からないが、純粋に『知りたい』という欲求に基づいて行われる研究も科学の発展のためには必要です。こうした研究は大学や研究機関でないと難しい。企業でも基礎研究には取り組んでいますが、将来的にビジネスに結びついていく可能性がある研究であることが条件となります」社会や人々の幸福に貢献できる研究職が求められていく 次に、これから求められる研究者像について考えてみたい。そのヒントとなるのが研究開発を4つの象限に区分した図5。 物理学者のボーアは「知りたい」という欲求に基づいてひたすら真理を追究した研究者。一方、エジソンは役に立つものを開発することに集中し、「なぜそうなるのか」という原理には興味がなかったという。この2人に対して、パスツールは「人々の病気を治したい」という目的をもって細菌の原理や性質を研究した。丸山教授は今後重要な役割を担っていくのは、このパスツール型の研究職だという。 「もちろん多様な人材が求められるのが大前提ですが、世の中にインパクトを与える研究を行うには、社会の問題に目を向けて(図中の「That Matters」)、原理を追究すること(図中の「Research」)がより重要になると考えています」 従来のイメージを当てはめれば、大学・研究機関での研究は主としてボーア型、企業での技術開発は主としてエジソン型といえるが、今後は大学においても企業においても、パスツールのように「役に立ち、かつ普遍的な知見となる研究」が求められていくことになる。 「19~20世紀までは、科学の成果が直接人々の物質的な豊かさに貢献してきました。しかし、21世紀の今、科学に求められているのは社会や人々の幸福に貢献すること。そのためには、社会が何を求めているのか、自分の研究していることが社会にどう役立つのかという、より幅広い視点が必要になります。文系的な知見も大切になってきますね」(丸山教授) もちろん、研究職に求められる職業倫理を遵守し、科学的事丸山宏『企業の研究者をめざす皆さんへ』より作成(提唱者はドン・ストークス)図3 女性研究者数と女性の割合の推移図4 研究主体別の研究者比率図5 研究開発の4象限

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です