キャリアガイダンスVol.405
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 まず、個人で一足先にALに取り組むときに心がけたいことがあります。隣や階下の教室で授業をする先生や、同じ教科の先生に、事前に報告し、了解を得ておくことです。 グループワークのために机を動かす音や、生徒同士の話し声は、何の前ぶれもなく聞こえてくると、隣接する教室にいる先生には耳障りに響くことがあります。同じ教科の先生と情報を共有しておかないと、その先生たちが生徒から「向こうのクラスの授業と違う」といった点を突如問われて、困ることがあります。そうしたことで教員間でトラブルとなり、学校でALを広めづらくなったケースも、先生方から実際にいくつかお聞きしているのです。 また、個人の活動から組織全体の取り組みへと拡大させるなら、私は、現場の先生数人でコアチームをつくることが重要だと考えています。理想は、そのコアチームと連携して、校長先生も強いリーダーシップを発揮してくれることです。 そのうえで挑戦していただきたいのが、授業研究のやり方を改善することです。伝統的な授業研究は、授業の実践者にダメ出しをする吊るし上げになりがちでした。そうではなく、実践者に対して褒める・認める・質問するをベースにしたふり返り会を行うのです(そうしたふり返りを行うための専用シートも作成しました )。すると、承認や質問を通して参加者全員が授業をよりよくするヒントを得られます。また、授業を見せ合うことの抵抗感が薄れるので、普段から積極的に授業について話し合えるようになります。 研修で知り合った他校の先生と、お互いの授業を見学し合うこともぜひ行ってください。外からの見学が増えると、あなたの授業はどんなものなのかと、校長先生をはじめ校内の先生方の関心も自然に高まります。アクティブラーニングに、個人ではなく学校全体で取り組みたい。どうやって周囲に広めていけばいいか。授業でグループワークをくり返しているが、生徒の主体性や意欲、協働する力が高まっているように感じられない。実践前に周辺の先生の了解を。あとは授業研究のやり方の改善が鍵を握ると思います。ふり返りの仕方と、グループワーク時の先生の介入の仕方に問題があるかもしれません。学校全体への普及効果が上がらない回答回答※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.405) 原因の一つに考えられるのは、ふり返りが機能していないことです。 ふり返りは、授業で感じたことや学んだことを、生徒が発言したり記述したりして行いますが、ここでまず確認しておきたいことがあります。その作業は 〝教師が〞生徒の授業の理解度をみるために行うものではない、という点です。授業評価とは別物。 〝生徒が〞授業で何をどのように学んだかを自らふり返る、言い換えれば「学習内容」と「学習プロセス」をリフレクション(内省)するために行うものです。 私の授業では、記入式のリフレクションカードで、生徒に3種類の質問をしています。一番目は、学習プロセスへの質問。「チームで協力できましたか」など。生徒は自分の行為や態度を見つめ直し、今後の成長につながる気づきを得ていきます。二番目は、学習内容への質問。「今日の授業でわかったことは何ですか」など。三番目が、その他の自由回答欄。生徒の要望や疑問を受け付けます。 こうしたふり返りを、5分や1分でいいので、毎回続けることが大切です。余裕があるときだけたまにやると、生徒は身構え、本音を出しません。一方で、毎回やると、次第に生徒はちょっと思いついたことも言葉にするようになります。それがまた本人の気づきや成長につながるのです。 このほか、グループワーク時の先生の介入がうまくいっていないことが原因であることも多いのですが、この点は次に詳しく説明させてください。アクティブラーニングへの理解を深めるためにおすすめの4冊溝上慎一『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』東信堂ピーター・M・センゲ『学習する組織』(枝廣淳子他訳)英治出版ピーター・M・センゲ『学習する学校』(リヒテルズ直子訳)英治出版日向野幹也『大学教育アントレプレナーシップ〜新時代のリーダーシップの涵養〜』ナカニシヤ出版1章アクティブラーニング最前線見えてきた課題とその解決策152014 DEC. Vol.405

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