キャリアガイダンスVol.405
21/64

自分たちで導き出してくださいというわけです。そのとき、各資料の内容についてある程度は納得できていないと「雲はどうしてできるのか」という答えにたどり着けません。そのためグループ内で「ああでもない、こうでもない」と対話が起こります。例えば、「気体って膨らむと暖かくなるよね」「えっ、冷えるんじゃ?」「なんで?」「よくわからないけれど空気って膨らむと冷える」「どうして?」「なんでだろ、あっ、広がるときにエネルギーがいる?」という具合。そうやって次第に、自分なりのストーリーを語れるようになるのです。これが対話を通じて理解を深めていく建設的相互作用です。 授業の最後にクロストークという発表の場があるのですが、その段階のを追うことが重要です」 生徒同士の対話が行き詰まっていると、見学者はつい「資料のここは読んだ?」と手助けしたくなります。しかし対話が行われていないからといって、思考が停止しているわけではありません。漠然と自分の意見があるのだけれど、他者から提示された材料を何とかつなげようと考え込んでいる状況かもしれません。そのとき見学者が口を挟むと、生徒の自発的な考えや、建設的な相互作用を止めることにもなりかねません。 ずっと黙っていて最後の最後に重要な発言をする生徒もいます。自分には理解できないと思っていたことが、みんなの話を聞いているうちに、考えがまとまることはよくあります。 同様に、授業中、ほとんど声を聞いたことがない生徒でも、実はアクティブラーナーである場合もあるのです。アクティブラーニングで大切なのは、表面上の活発なコミュニケーションではありません。思考がアクティブになるかどうかです。 知識構成型ジグソー法にしても、その他のアクティブラーニングにしても、学習指導要領に基づいて教科書の内容を教えるという点では、従来の授業と変わりはありません。しか 私たちが実際の高校で行う研修授業では、次のような「授業の見方」というシートが見学者に配られることがあります。「協調学習のねらいは、一人ひとりが自分の考えを深めていくことで、単に活発なコミュニケーションが起きることではありません。各人がそれなりの仕方で学習に参加し、人の考えと自分の考えを比較・統合しながら自分の考えを変えていく様子を追ってください」「一人ひとりの生徒を見て、今何をどう発言しようとしているのか、あるいは今何を考えているのか心の中で起こる学びこそ見てほしい教室には不思議な空気が流れています。理解している生徒としていない生徒が二極化しているわけではなく、理解の早い生徒がそうでない生徒に説明している状況とも異なります。全員が何となく正解にたどりついています。授業開始時点に比べ、理解度や納得度も格段に深まっています。その感覚が、他人の言葉遣いを聞いて自分の表現を変える下地になっていますし、次のレベルの疑問や理解を誘発します。 こうして定着した知識は一過性のものではありません。学校の外に持ち出せ、必要な時に使え、作り変えつつ維持できる生きた知識です。し舞台装置は異なるため、意識の転換に戸惑いを覚える先生方もいるでしょう。実際、私たちの方法に理解を示し、授業の進め方もうまい先生が、「でも、本音を言うと、自分が説明したくて教師になったのに」と笑っていらしたこともあります。 いっぽう、先の研修授業において各グループで交わされたすべての会話を録音・書き起こしたものをお渡ししたところ、新しい気づきをもたれた先生もいらっしゃいます。最後のクロストークで誤答を発表したグループがあったのですが、発表直前、「先生が期待する答えはわかっているけれど、ぼくたちはこう考えたいよね」という会話が記録に残っていました。対話を通じて導き出したその子たちなりの結論を、あえて発表していたのです。その事実を知った先生はうれしそうに「ああ、ここでこの子たちを評価したい」とおっしゃっていました。こうした感覚が先生方の授業を変えていくと思います。大切なのは、子どもたちの考える力を信じること。すると期待以上の答えをだす子が現れるはずです。あとは子どもたちが先生を引っ張ってくれることでしょう。2章授業を未来を切り拓く学びの場に232014 DEC. Vol.405

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です