キャリアガイダンスVol.405
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 アクティブラーニングを授業に取り入れる先生や学校が増加し、さまざまな手順や手法の研究も進んでいる。そんななかで、水野先生は、授業設計のマニュアル化を危惧している。「導入し始めは、手順として何をすればいいか手がかりが必要です。ただ、そこからさらに、学びの質を高めていく観点をもたないと、授業がマンネリ化し、生徒の学びが深まらない。それでつまずく先生も少なくありません」 元気に活動し始めた生徒の様子がうれしいのもつかの間、次第に話し合いではなく私語になり、学習効果が高まっている実感を得られなくなるケースも少なくない。そこから脱していくには、技法だけ真似るのではなく、方略も大事になるという。「重要なのは、型ではなく授業観。互恵的な相互関係を成立させることが必要です。協同の精神なくして学び合いは成立しません。生徒の学びをよく見て、自分の授業の質をあげていくためにどうアクティブラーニングを取り入れて授業を組み立てるか。1回の授業で終わりではなく、じゃあ、次にもっとやってみようという学びの発展性をどうつけるか。そんなつなげる感覚をもつことが大事です」 その背景にあるのが、アクティブラーニングにおける教師と生徒の関係を示す学習共同体の構築と教師の力量形成のデュアルシステム(図1)。「右側が教師の力量の推移。まずは学びが深まるALの授業設計取材・文/清水由佳「アクティブラーニングの先進事例を参考に、同じように授業を実施したがうまくいかない」。そんな悩みをよく聞きます。そこで、長年協同学習の研究を行い、日本協同教育学会理事も務める名古屋市立桜台高校・水野正朗先生に、アクティブラーニングの授業設計の考え方をうかがいました。アクティブラーニングでは、「型」よりも「授業観」が大事図1:学習共同体の構築と教師の力量形成のデュアルシステム学習共同体の構築対話的実践力の向上(個の主体的協同性の発揮)対話的交流教師の指示を待ち受ける個他者への信頼感の醸成学習理解の向上人間関係の改善シチズンシップの向上(民主的な社会の形成者)「協同の学び」を実現する教師の力量学習者の自律と自立協同の精神に支えられた問題解決協同学習のパーソナルセオリーの構築協同の精神に支えられた授業の開発と運用協同学習の多様な技法群と方略の適用協同学習の基本的な技法と方略の理解目的に応じた個と集団(グループや学級)の対話的交流協同の精神の体験的理解聴き合う関係や学び合い(互恵的関係)の成立協同学習とは、小集団を活用した教育方法。生徒たちがグループになって一緒に課題に取り組むことによって、互いの学習を最大限に高めようとするもの。相互の関係をもとに、協同的な学習活動を進める技法。その技法は、アクティブラーニングのひとつとしてとらえられる。協同学習とは資料出所:原田信之・水野正朗『「学びの共同体(ラーニング・コミュニティ)」づくりのための授業技法化モデルの解説』を一部修正242014 DEC. Vol.405

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