キャリアガイダンスVol.405
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資料出所:水野正朗「協同的な学びの創造」『授業研究と授業の創造』(渓水社)より4つのステップで頭の中をアクティブにする基本的な技法と方略を理解するところから始まり、最終的には協同学習のパーソナルセオリーの構築ができるようになります。一方、左側が生徒の成長段階で、最初は聴き合う関係や学び合う関係づくりから始まり、最終は自律と自立。問題解決型の学習でも、生徒たちが自らテーマを見つけて学習するなど、学習課題を自分たちで作れるまでに成長します。つまり、アクティブラーニングでは、教師と生徒が一緒に成長していくんです」 だからこそ、授業計画は生徒の理解度や態度から考えることが大事。「まだ習熟していなければ、最初は入りやすいペアワークから。次第に、全体討論にしてみたり、グループや個人に戻してみたり。知の世界、学びの本質を目指して、方略も徐々に柔軟になっていくものだと思います」 アクティブラーニングの授業設計で大切なことは、生徒同士の「教え合い」にとどまるのではなく、その場で気づきや知識の構成を体験する「学び合い」を目指すということ。グループダイナミズムを生かして生徒同士が互いに深い学びを得るのだ。「答えをわかる子がわからない子に教える、学びの結果を共有するのが『教え合い』です。これも確かに効果はあります。けれども、学びの深まりや知識の定着を考えると、学びの過程を共有する『学び合い』のほうがずっといいと思うわけです」 そのプロセスとして、水野先生が勧めるのは、知識構築のサイクル構造モデル(図2)。「個人で考え、グループワークをし、全体討論をして、もう一度個人で考える。この4段階のサイクルは、知識を自分のものにする過程、知識の内面化に重要なステップです」 グループは、生徒の状況によって、ペアワークにすることもあれば、4人くらいの少人数のグループにすることも。おとなしい生徒などが、自分の考えを言葉にする機会を、しっかり確保するためのものだ。「全体討議によって行うのが、『間主観的合意形成』。メンバー全員が納得して導き出した納得解を得ると言ってもいいでしょう。これは、同じ議論をして同じ結論にたどり着いたとしても、個々人の中の理解は同じではありません。一人ひとりが、自分の人生経験と結びつけて理解し、納得しているわけで、背景はさまざま。そこを、改めて個人に戻すことで定着し、次の学びにつながっていくのです」 この過程のなかでは、想定外の意見が出てくることもある。教室内が、一瞬水を打ったように静かになることもある。水野先生は、それこそが「宝」だという。「答えが一つに決まっていて、それを出すだけだったらグループワークをする必要はありません。とんでもないことを言ってくれる子がいると、全員が、既有知識のなかで、どうとらえようかと必死で考えます。それこそが、アクティブラーニング。アクティブなのは、教室がにぎやかになることではなく、頭のなかがアクティブになることなんです」図2:知識構築のサイクル構造モデル名古屋市立桜台高校教諭水野正朗先生名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。日本協同教育学会理事。「名古屋・協同の学びをつくる研究会」事務局。協同学習関連の論文、著書多数。主な著書に、『授業研究と授業の創造』(渓水社、共著)など。①各個人②グループ③全体④内面化知の構築再構築間主観的合意形成生徒グループグループグループグループ生徒生徒生徒相互作用2章学びの本質に向かう授業改革252014 DEC. Vol.405

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