キャリアガイダンスVol.405
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下山尚久先生【理科】 皆野高校(埼玉・県立)教科の点数とともに、自分の言葉で書く力が伸びている1966年創立/商業科・情報処理科/生徒数257人(男子129人・女子128人)/進路状況(2013年度実績)大学3%、短大1%、専門学校19%、就職62%、その他15% 理科教室で行われる3年生の地学の授業。下山先生は生徒が教室に来る前に、今日の授業の目標「なぜ地層は下の方が古いか、自分で説明できること」を板書していた。一見簡単そうな課題だが、その答えは教科書のどこにもない。さらに、「説明には『浸食』『運搬』『堆積』を使うこと」「わかりやすい例えも入れること」などの条件も設定されている。下山先生は授業での目標=課題に対する問いの設定に最も注力している。授業の「つかみ」でもあり、生徒が考える過程や、自ら答えに行き着く喜びを得るために、問いや条件の設定の仕方が非常に重要だからだ。 先生が図版や画像を見せながらいくつかのヒントを出したあとは、グループごとに話し合いながら、プリントに自分の考えを記入していく。「運搬、浸食、堆積って、落ちゲーみたいじゃない?」「でも積もりすぎると全部消されてゲームオーバー! ダメじゃん(笑)」「落ち葉は? 積もると土になって地層の仲間?」「羅生門の必要悪の連鎖も地層に例えられないかな?」「建材を運んで来て、1階から作っていくビルの建築現場を考えると地層の下が古いことを説明できそう」など、自由でイキイキとした考えが飛び出ては、仲間や時には自分の意見に突っ込み合いながらプリントを埋めていく。発表はくじで当てられた生徒。全員が答えられるようになることが授業の目的だからだ。 下山先生が非常勤講師として複数校に勤務していたとき、講義型の授業で進学校では生徒はひたすら板書を写し、多様校では飽きてしまう生徒がいる状況を何とかしたいと思ったそうだ。「講義型でない授業の可能性について、さまざまな本や研究授業に触れていました。その後、越ヶ谷高校に教員として赴任し、自分のやりたい方法で授業をすることを決意し、AL型の授業を始めました」 4年前に皆野高校に赴任してからも、さらに授業方法をブラッシュアップさせている。そして、生徒の目覚ましい変化を実感しているという。進級ごとに課題プリントに書く量が段違いに増えていったり、以前はテスト前に予想問題を伝えないと勉強して来なかった生徒も、自ら食らいついて勉強してくるようになった。「今の時代、生徒たちは友達同士などの狭い範囲での情報にしか触れようとしなかったり、黙っていても誰かが何とかしてくれる環境で育ってきています。けれど、社会に出たときはそれでは通用しません。生徒に身につけてほしいのは教科内容だけでなく、理科を通して困ったときに『助けて』と言える力や、『わからない』と言える力だということを、生徒たちにいつも伝えています」予め提示した目標に向かって話し合いの授業が進行社会で通用する力をALから身につけてほしい本当に大事なことが「問い」となるよう、そぎ落として考えます342014 DEC. Vol.405

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