キャリアガイダンスVol.405
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 アクティブラーニングが目指すのは、生徒が自ら探究し、協働するような学習だと思いますが、それは、文部科学省が掲げる「確かな学力」の育成の方向性とも重なります。「確かな学力」とは、学校教育法にも示されている三つの要素のことです。 一つめは、「知識・技能の習得」。 二つめは、知識・技能を社会や暮らしの中で活用していくために必要な「思考力・判断力・表現力等の能力」。 三つめは、主体的に学習に取り組む態度、いわゆる「学習意欲」。 これらはどれも大事なのですが、今、特に課題とされているのは、二つめの要素、思考力・判断力・表現力等の「能力」の育成です。〝等〞とつけているように、思考力・判断力・表現力だけでなく、知識や技能を活用していくための幅広い能力です。こうした能力の育成を重視しよう、というのは、世界的な潮流でもあります。 これまでの授業は、「知識・技能の習得」に重きを置いていました。その場合、乱暴な言い方をすると、授業のエンドゾーンさえ押さえれば何とかなった面がありました。学習内容を教師がチョーク&トークの講義で示し、最後に「これを覚えておけ」と教え込むようなスタイルです。 しかし、授業で「能力」の育成まで行うとなれば、知識のように詰め込むことはできません。授業の中に、思考・判断・表現するなど「生徒一人ひとりが能力を発揮する場面」が用意されていないといけない。そのように学習活動のプロセスが充実してこそ、個々の能力は鍛えられます。 つまり、今までの授業は「生徒が何を学ぶか(学習内容)」を重視していましたが、これからは「生徒がどのように学ぶか(プロセス)」も、学習内容と同等もしくはそれ以上に大事にすべきなのです。 そしてそのプロセスを充実させるうえで、鍵を握るとみられるのが、授業の中にインタラクション(相互作用)とリフレクション(自己内省)を入れることです。他者と相互にかかわるなかで、自分の考えをまとめて表現することや、新たな知見を生むことを経験する。その行為を自らふり返ることで、思考や表現の仕方を見直し、それらの能力を高めていく。こうした学習は、生徒が自ら学ぶアクティブラー取材・文/松井大助 撮影/平山諭ニングと言えるでしょう。 このような学習が求められるようになった背景には、いくつかの要因があります。まずあげられるのは、社会の変化です。 一昔前の社会では、既存の知識や技能を「習得」し、そこで覚えたことを安定的に「再生」する場面が多くありました。上司や先輩から教わったことをよく覚え、習ったとおりに作業する、といったように。 ところが情報化社会の今は、我々は大量の情報を瞬時に入手できるようになり、膨大な知識を覚えておく必要性が薄まりました。また、最新情報はどんどん更新され、既存の知識や技能がすぐに陳腐化することも増えました。加えて、型どおりの反復作業はロボットが担うようになり、人間の出番は減りました。社会では、ものごとを覚えてそのまま再生することよアクティブラーニングで「確かな学力」が育まれる生徒が学びを希求する学校にアクティブラーニング、キャリア教育、確かな学力。どれも授業のあり方に関係してくるキーワードですが、そのすべてに通底する、これからの学びとはどのようなものなのでしょう。文部科学省・国立教育政策研究所の教科調査官、田村学氏にお話をうかがいました。362014 DEC. Vol.405

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