キャリアガイダンスVol.405
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プロサッカー選手から校長へ。自分に向き合うことの大切さを伝えたい金澤大将菊川南陵高校 校長菊川南陵高校(静岡・私立) 2011年にプロサッカーの世界を引退し、第二の人生を考えていたとき、「教員として、創部間もないサッカー部を指導してほしい」というお誘いをいただきました。高校時代、恩師から教師向きの性格だと言われ、保健体育の教員免許も取得していた私です。サッカーの技術だけではなく、人間的な指導もしなければ成長につながらないと考えていたこともあり、教育の世界に足を踏み込みました。 特に伝えたかったのは、うまくいかないときに自分と向き合うことの大切さです。プロの世界は評価する人によって求められるものが違います。単純な実力のあるなし、調子の良し悪しによって試合に出場できるとは限りません。何をしたら正しく評価されるのかわからず、結局は自分自身と向き合うしかないのです。 そうした指導を続けるなか、翌年に教頭、その翌年には校長に指名されました。校名も新たに生まれ変わったばかりの高校であり、待ったなしの改革に若い力が期待されたのです。20代の教員が過半数を占める校内事情を差し引いても異例のことで、驚くいっぽう闘志もわいてきました。あえて厳しい道を選択し弱い自分と戦うのも、チーム内で役割を果たすのもプロで学んだこと。経験がものをいう場合も多いでしょうが絶対に必要かといえばそんなことはありません。失敗したからといってすべてだめになるわけでもありません。そうした信念を自ら手本となり、子どもたち、そして若い先生方に伝えたいと思いました。実際、困難な状況もありますが、反骨心はありますし、失敗を糧にできるタイプです。何より周囲のサポートに助けられています。 本校の教育目標は、社会に通用する人材の育成。自ら人生を切り開いていける人になってほしいのです。なかでもスポーツを通じた教育に期待しています。目標ができることで生活規範も身につきますし、結果が出ることで自信も生まれます。部活動に参加していない生徒にとっても、頑張っている仲間が身近にいることは刺激になりますし、やればできるという感覚も共有できるはずです。 本校はまた、「高校からでも間に合う教育」を掲げています。私自身そうですが、やり直しはいつからでも可能です。不登校であった生徒の受け入れに力を入れているのもそのため。多くの先生が教育支援カウンセラーの資格を取得するほか、中国人留学生を含む多様な生徒が共に学べる環境を用意しています。 このほか、地元企業の応援のもと実施する企業見学、タブレット端末を導入したICT教育、放課後学習にも力を入れていくつもりです。 立場が変わっていくなか、サッカーの指導を含め、生徒と触れ合う機会が減ったのは寂しいですが、腹はくくっています。今は子どもたちが成長するための環境づくりに本気で取り組んでいます。かなざわ・ひろまさ1983年生まれ。静岡県立藤枝東高校、東京学芸大学卒業。横浜FC、水戸ホーリーホック、S.C.相模原に在籍。2011年限りで現役を引退し、12年菊川南陵高校に赴任。14年4月より現職。サッカー部監督を兼任。静岡県菊川市にある男女共学の私立高校。前身の国際開洋第一高校時代の経営を一新し、2011年、現在の校名に変更し、新体制に。全日制普通科に進学コース、就職コース、スポーツコースを設置(2015年度より)。強化指定部活動である野球、陸上、サッカー、水泳、空手が盛ん。寮生活も選択可能。校長先生は、30歳の元Jリーガーやり直しはいつでもきく。若いときならなおさらだまとめ/堀水潤一 撮影/菊本浩子学校運営の舵を取るトップに聞く412014 DEC. Vol.405

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