キャリアガイダンスVol.405
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特別指導の多かった学校がオープンで活動的な学校に 現在の東京都立田柄高校をみれば、多くの人は「オープンで活動的な学校」と感じるだろう。しかし、数年前まで同校は、地域から「実態がよくみえない」「生徒指導の多い学校」と思われていたという。何が短期間で大きく同校の印象を変えたのか。その理由について、日本初の専任キャリア・カウンセラーとしての経験をもつ(※)同校校長の大池公紀先生は、「生活指導とキャリア教育を軸に段階的に学校改革を行ってきた結果」と語る。 学校改革の第一段階は、2012年からの生活指導のてこ入れだ。教員の組織化や服装指導の徹底などにより、謹慎指導が前年の3分の1に減少。成果の表れは「意思をもって取り組めば学校は変わる」という教員の自信につながった。 生活面が落ち着くのと重なるように、入学生徒の顔ぶれにも変化が生じた。同校には普通科と、グローバル教育に力を入れる外国文化コースがある。都心部に近い立地もあり、同コースを中心に本人や保護者が海外出身というルーツをもつ生徒が数多く入学するようになったのだ。現在は全体の約3割が海外ルーツの生徒で、教室では中国語やハングル語、タガログ語などさまざまな言語が飛び交っている。「中学時代は学校に1人2人しかいなかった外国籍の生徒も、本校では特別視されることはありません。萎縮せず自分を出せることで、自分も周囲も、その良さに気付くことができます。また、彼らには、校内の雰囲気をオープンで陽気なものに変える力もありました。この環境を生かし、互いを尊重できる広い国際感覚を持つ生徒を育てていきたいと考えています」(大池校長)外部人材を活用したキャリア教育で学校改革 生活指導がひと段落した13年度からは、学校改革の第2段階としてキャリア教育の充実に舵をきる。初年度はまず1年生の総合的な学習の時間をキャリア教育の視点で見直し、学年進行でプログラム設計が進められている。進路指導主任の石井裕己先生はこう話す。「将来に意欲的な生徒が増えてきた今、出口指導だけでは期待に応えられません。将来を見通し、コミュニケーション能力や自ら考えて行動・発信できる力を育てることが必要でしょう」 今年度は、1、2学年の総合的な学習の時間(2学年は東京都設定教科・科目「奉仕」として実施)に「キャリアデザインⅠ・Ⅱ」のプログラムを実施(図1・2)。3学年の総合的な学習の時間は進路実現に向けた活動が中心だが、来年度は「キャリアデザインⅠ・Ⅱ」の延長として再構築する予定だ。 これらのプログラムでは、生徒が受け外国籍の生徒を積極的に受け入れ、教室に多様な言語が飛び交う田柄高校は、これからの日本社会の縮図といえるかもしれません。そんな同校で行われているキャリア教育とは、どのようなものでしょうか。─東京・都立 田柄高校─取材・文/藤崎雅子先進校に学ぶキャリア教育の実践豊富な"人との出会いと経験"で改革を加速多国籍化する学校の挑戦総合的な学習の時間 奉仕 人間としての在り方生き方に関する新教科外部人材活用 コミュニケーション プレゼンテーション※大池校長のキャリア教育の実践は 『キャリアガイダンス』NO.31 P.56「改革者たち」をご参照ください442014 DEC. Vol.405

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