キャリアガイダンスVol.405
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 福岡県立玄洋高校は創立32年目の普通科高校。地域と積極的にかかわりながら、生徒の「人間力」を高める教育に力を入れるなど、学校改革に取り組んでいる。人の役に立ちほめられることが〝働く気持ち〞を醸成する 同校にはキャリア教育部の中に進路指導課と人材育成課がある。人材育成課が手がけるのは、インターンシップやジョブシャドウイング、ボランティアなど校外での活動にまつわる業務。キャリア教育部長と人材育成課長を兼ねるのが永吉秀樹先生だ。 およそ10年前、永吉先生は学年主任として、視野が狭く学校外のことをほとんど知らない生徒をなんとか校外で活動させたいと小規模のインターンシップを実施した。生徒の中の一人がJR九州に行ったのだが、最初は乗り気ではなかったものの、インターンシップを通して著しく成長し、JR九州に就職。その後社内で次々とキャリアアップしていく姿を見守りながら、職業体験の重要性を痛感してきたという。 そして一昨年度、学校としてのインターンシップ実施にこぎつけた。希望者を募り、およそ10人の生徒が参加。昨年度はさらにジョブシャドウイングも始めた。新聞社、弁護士事務所、テレビ局‥‥インターンシップが難しい職場もジョブシャドウイングなら可能。「警察官志望だった生徒が、弁護士事務所に行き、検察官や弁護士といった職業にも目を向けるようになりました。身近な職業から未知の職業への関心の広がりや、学習意欲の高まり。そういう生徒が少しでも増えてくれれば」と永吉先生は言う。 同校では、希望者を募り原則として1年生でジョブシャドウイング、2年生でインターンシップを実施しているが、例外も認める。今年は3カ所で体験した生徒もいたという。「誘い合ってどんどん参加するように指導しています」と言うのは2年生担任の今林佑輔先生。「友達の付き添いで渋々行くような生徒が変わります。学習意欲が低く投げやりなタイプの生徒が、敬語を使えるようになるだけでも成長。表情が明るくなる生徒も多いです」。 体験先の開拓には、県から配置されたキャリアコーディネーター松藤浩一さんが尽力。松藤さんが依頼する時は、「ありのままの働く姿を見せてほしい」と言ってお願いする。また、永吉先生もSNSで同窓会に向けて協力を呼びかけるなどしている。 そんななか、永吉先生は、同校が以前から行っていたボランティア活動も職業観育成に役立つと考え、より力を入れるようになった。「異世代の方と一緒に働くことは、コミュニケーション力の向上になります。そして何より、人の役に立ってほめられたという自己有用感の高まりが、働く気持ちにつながると考えています」。─CASE─何年生でも可、何回でも可。地域に出て体験して人とかかわって成長する│玄げんよう洋高校(福岡・県立)│視野が狭く、自己有用感が低い生徒がいる。全員インターンシップをやりたいが、なかなか条件がそろわない。課題1982年創立/普通科生徒数868人(男子499人・女子369人)進路状況(2013年度実績)大学27%、短大17%、専各32%、就職15%、その他9%今年は20人がジョブシャドウイングに参加。テレビ局での体験も。災害で壊れた石垣を復興するのを手伝った。「ボランティアも職業観育成教育の一つ」と永吉先生。■ ジョブシャドウイング■ ボランティア522014 DEC. Vol.405

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