キャリアガイダンスVol.405
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「キャリアガイダンス.net」ではロングバージョンをお読みいただけます希望の道標取材・文/山下久猛撮影/平野 愛おばた・かずき●1994年和歌山県生まれ。10年間以上不登校を経験。自宅で一日のほとんどをゲームに費やす毎日を送る。中学校を卒業後、和歌山県立耐久高校定時制に入学。校内外のさまざまな人との出会いをきっかけにNPO活動に参加するなど積極的に行動するようになる。2013年2月にイベント企画会社、合同会社和-なごみを設立し高校生社長となり、同年3月には高校生カフェ「ESPOIR」を設立。11月には和歌山最大規模のコンサートホールでイベントを開催した。2014年3月には元ライブドア代表取締役社長の堀江貴文氏をゲストに講演会を主催し500人を集客。同年4月から和歌山大学観光学部に入学。新しいイベントサークルを立ち上げ、和歌山活性化のための活動に取り組んでいる。また自身の体験を話すことで、不登校について悩んでいたり、人生に物足りなさを感じている若者に、一歩踏み出す勇気を与えるため、全国各地の学校やイベントなどでの講演活動も行っている。小幡和輝 幼稚園の年少組から中学3年生まで不登校でした。特に小学3年生からはほとんど学校に行っていません。その理由は自分でも明確にはわからないのですが、とにかく大勢の人と一緒に、決められた時間に何かをやらされる学校というシステムにどうしても馴染めなかったんです。その間は家に引きこもってひたすらゲームばかりしていました。ゲームに費やした時間はトータルで3万時間以上だと思います。 高校は夜間ならば行けるかなと思い、和歌山県立耐久高校の定時制課程に入学しました。定時制は僕と似たような人が多く、先生もそのつもりで接してくれたので、普通のクラスよりは楽でしたが、やっぱり集団行動はとても苦痛でした。 大きな転機が訪れたのは2年生の春。たまたま教室の掲示板でNHKの見学ツアーの告知チラシを見つけました。プログラムの中にNHKのプロデューサーと話す時間もあり、とても興味を引かれました。僕は家に引きこもっている間もNHKの番組ばかり観ていたほどNHKが好きだったからです。ほかの参加者と会うのが嫌で迷ったのですが、プロデューサーと話せる魅力のほうが上回り、参加しました。 当日はやっぱり他校の高校生もたくさん来ていました。たまたま席が隣だった1つ年上の高校生がとても社交的でいろいろと話しかけてきました。家も近所だったので、一緒に帰ることになったのですが、その帰り道に彼が一方的に話してきたことに大きな衝撃を受けました。 彼は学校の勉強もやりつつ、部活や生徒会はもちろんのこと、放課後や土日はボランティア活動やアルバイトにも取り組み、さらに中高生たちが主体となって音楽イベントなどを主催するNPO団体のメンバーとしても活動していました。彼の話を聞いて、高校生なのになんてすごいんだろうという尊敬の念を抱くと同時に、僕は今まで何をしてたんだろうと猛烈に悔しくなったんです。彼が一緒に活動しないかと誘ってくれたので、彼についていけば何か得られるものがあるかも、自分も変われるかもしれないと思い、その団体に入ることにしました。 そこから僕の意識と人格が別人のようにがらっと変わったのです。その団体には彼のような高校生がたくさんいて、大いに刺激を受けました。僕も負けてはいられないと自分から積極的にいろいろな活動に取り組むようになったんです。これまでの10年間を取り戻すように。 高校3年生のときには会社を設立して新聞でも大きく報道されるような大規模なイベントを開催しました。卒業後は和歌山大に入学し、新しいイベントサークルを立ち上げて和歌山を活性化する活動に取り組んでいます。 僕の人生はひとりの人との出会いで大きく変わりました。あのとき、NHKの見学ツアーに参加していなければ、彼と席が隣になっていなければ、彼と家が近所でなければ、今でも引きこもってゲームばかりしていたかもしれません。特に行き詰まり感を抱えている高校生には学校と家だけではなく、いろんな場所へ出かけて、普段会えない人と話してほしい。そう思います。出会いで人生は大きく変わる経営者・大学生/小幡和輝632014 DEC Vol.405

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