キャリアガイダンスVol.405
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教員はとかく教えたがりなので、ヒントを与えすぎないように心がけています」 先生たちの実感では、この1年で生徒の学びに対する能動性が高まり、積極的に発言することで、授業への理解も深まっているようだ。「目の輝きが違ったり、生徒の意欲は目に見えて上がり、やる気のない態度の生徒は激減しています。グループワークから講義形式に戻ると寝ようとする生徒もいますが(笑)。授業で『これについて誰か調べてきて』と言えば必ず調べてくる生徒がいますし、生徒同士が教え合う姿勢も定着してきています」(小島先生) ALの効果についての数値的な測定は、今年度の終わりに複数の民間業者テストなどを取り入れて、統合的な検証を行う予定だという。 一方で、ALを全校で導入することで、新たなスタイルの授業の進行や事前準備などのため先生たちの負担は当然増える。そこに教員間の温度差という課題も表出した。「導入から1年たった今年の5月の研修で、ALと学力向上との相関に対する疑念や、授業スタイルの変化への抵抗感など、基本的な不満が出ました。ALの有効性については昨年、講師の方々に十分に語っていただいていたつもりでしたが、初めからスムーズには進められません。ALの授業に不安があると、同じ内容を講義で繰り返してしまうこともあります。 ALが有効か否かはさまざまな研究で実証済み。なので、それを有効にできる組織になれるかどうかが重要です」(家村先生) 生徒側がAL型の授業に慣れていないうちは、話し合えと言っても板書を写しているうちに話し合いが時間切れになることもあった。時間短縮のために、事前にプリントを用意したり、マグネットシート、ICT機器等の活用で効率化を図っている。「ICT機器を整備し、研修会などで使い方の説明も行って、ツールの存在と有効性も周知しています。生徒の能動的な時間を増やすためには、これらを使いこなす教員側のスキルアップも必要です」(家村先生) また、生徒側にも課題はある。「グループワークにどうしても馴染めない生徒がわずかながらいます。本来孤立するタイプでない生徒でも、授業中に人と話すことを嫌がることがあります。こうした生徒の巻き込み方を検討中です」(家村先生)「グループワークでは組み合わせも大事。キャリア教育の観点からは人間関係がない間柄でも話し合える力が必要です。それを生徒にどう理解させるかが、今後の課題です」(小島先生) 課題とどう向き合うか、同校の今後に、引き続き注目していきたい。生徒たちの変化生徒による授業評価(グループワークに関して)の記述より▲数学Ⅰの吉澤将大先生の授業では、演習のグループワークでつまずいている班に先生がていねいに教えている間に、先生が「わかった人、他の人に教えて」と言うと、解けた生徒が一斉に立ち上がって、考え中の生徒のところに駆け寄り教え始めた。横山直輝さん(1年生)名越紗世さん(1年生)中学でも班学習は少しやっていましたが、お互いに教え合うグループ学習は、教える立場になると自分の理解を整理することになるので、習ったことが身につきやすくなります。教えてもらうときも友達同士だと気軽に聞けます。間違っていたとしてもすぐに指摘されるので、間違ったまま理解することがないので、いい方法だと思います。ただ、理科の授業などは、今は化学式など暗記しなければならないことがたくさんあるので、考えるより暗記が必要な授業ではグループ学習でないほうがいいと感じています。授業中でも友達同士の会話が多くなるので、先生への質問もしやすいですし、授業内容が頭に入りやすいです。しゃべっていいと何より授業が楽しいですし、友達同士で「間違えちゃったねー」と言い合ったことが記憶に残っているので、同じ間違いは繰り返さなくなります。英語や国語のようなコミュニケーションが基本の授業はとてもALが楽しいですが、数学で計算を解くときにまわりのスピードについていけず、後から見直さなければならなかったときもあるので、そういう授業のときは自分だけの時間がほしいです。●グループワークがたくさんあり、90分間集中して勉強できています。●ペアワーク、グループワーク、フラッシュカードで責任感のようなものが出て、身につきます。●難しい問題をグループでやるのは、話し合いの力もつくし、自分が思いつかない考え方などが出てきて、とてもいいと思います。●前後や左右の人と授業の内容を話すことで、それをまとめることができるので、わかりやすいです。ALが有効な組織に向けてGWが苦手な生徒も課題グループワーク1章アクティブラーニング最前線見えてきた課題とその解決策92014 DEC. Vol.405

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