キャリアガイダンスVol.406
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してきたわけです。いまや、「いずれ役に立つ」という曖昧な理由では生徒は動きません。身近にはSNSやゲームなど、おもしろくて夢中になる対象があるのですから。 これからますます、社会の中で生かせる学問を知ったり、大学での学びを知るなど、知の連続性として今の勉強をとらえる機会を作っていくことが非常に重要になってきます。社会のことがわかり、そこに自分がこうかかわりたいという意志が芽生えれば「今、確かにこれをやっておかなければいけない」という意欲がわくでしょう。それが、本来言い続けられてきた生涯学習時代のキャリア教育。未来に向けて自発的に学び続ける人を育てる教育が、ますます大事になってきます。「意欲を喚起し、自己成長できる生徒を育てる」それがこれからのキャリア教育の目的と言えるでしょう。 「キャリア教育」という言葉自体は、やっと浸透してきました。そして、全国のあちこちで、個人的な取り組みとして授業の中でキャリア教育を実践されている先生が出てきています。アクティブラーニングや学び合い、ITを使った学習など、さまざまな授業方法の変革が起こっています。また、総合的な学習の時間も、行事の準備や単なる体験で終わるのではない探究的な学びが広がっています。以前であれば、そういう実践事例を知るには、時間もかかりましたし、横のつながりを持ちづらかった。でも今は、ネット上にいろいろなプラットフォームができていて、情報共有もしやすい。ある先生が実践してみたことをネット上に書き込むと、会ったことはないけれど同じ思いを抱いている先生が見て、自分も実践してみてその結果を共有し、情報が広がっていく。高度情報化社会ならではの情報共有ですね。そうやって、あちこちで火花がポッポッと散っていたものが大きな爆発になり、ある日突然がらっと変わる。そんな予感がしています。 従来のような、学校単位、市区町村単位といった上から降りてくる変化ではなく、個人で積極的に授業改革する先生たちのつながりによって、全国に大きく広がると思います。 そういうキャリア教育における進路指導の役割としては、いかに先生たちの授業を支援していけるかが重要になると思います。イベント的な催しをすればいいのではなく、授業の中で各先生たちがキャリア教育を考えていく支援をしていくことが大切になるでしょう。 もう一つの大きなキーワードが、「地域の人材育成」です。特に、5年後に迫ったオリンピックは、その大きな起爆剤になるでしょう。オリンピックのために、世界中から人がやってくる。その人たちをいかに地域に呼び込みリピーターになってもらうか。地域創生のキーワードとして、今盛んに議論されていることです。今回のオリンピックは、単なる東京でのお祭りではありません。地域創生の大きなカギを握っている一大プロジェクトなのです。 地域創生とからめながら、雇用を作り、産業を作り、地方のプロジェクトを作っていかなくてはいけない。そこで急務となるのが、若い世代の人たちがいかに考え、行動していけるか。そういう人材育成です。それが、これからのキャリア教育で重要なPBL(Project-Based Learning:課題解決型学習)につながっていくわけです。 オリンピックはもう5年後です。だからこそ、待ったなしで、現実的なキャリア教育を行っていくことが大事です。 進路指導における議論は、今まで「何をするか」「どのようなプログラムを行うか」といった方法論が中心でした。しかし、これからは価値観形成や自己成長できる個人となるための意欲をいかに支えるか。モチベーターとしての役割が大きくなると思います。ティーチャーがコーチとなり、モチベーターとなる。そんな変化を遂げていくと思います。 そのため、進路指導として実際に行うインターンシップや将来を考えるプログラムなど、計画や方法はあまり変化しないかもしれませんが、そこで何を伝えるのか、どう伝えるのかなど、ねらいが大きく違ってくると思います。単なる職業理解や進路選択のための進路指導ではなく、未来を自ら切り開いていく、周囲の人や家族・社会のためにいかに自己成長していくか、そんなやる気を引き出すための言葉かけやねらいを作っていくことが、今後は大事になるでしょう。ある日突然、爆発的にキャリア教育が広がるオリンピックと地域創生待ったなしの変革です自己成長ややる気を引き出すモチベーターとなるキャリア教育の今後を展望する現場発 これからのキャリア教育252015 FEB. Vol.406

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